コーヒーを飲むと頭が冴える気分になるもの。仕事の間、眠気の防止や集中力を高めるため、カフェインたっぷりのコーヒーを愛飲している人も多いのではないでしょうか。特にクリエイティブな職業にはコーヒーが欠かせないイメージも。このたびカフェインをとった場合に高められる能力について報告がありました。高められる能力とそうでもない能力があるようなのです。
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カフェインで仕事がはかどる?
世界で最も気分を高める物質として消費されているといえるカフェイン。米国では成人の85%が1日に最低1杯はカフェイン入りの飲み物を飲んでいるといいます。これまでにカフェインには、認知機能を向上させる効果があるとわかっています。また適度にとれば、注意力や集中力を高めるほか、運動能力の向上や気分を改善してくれる効果も。
そんなコーヒーは、作家やプログラマーなどクリエイティブな職業の人の傍らに欠かせない飲み物といったイメージがあるかもしれません。このたび、米国アーカンソー州立大学の研究グループはカフェインとクリエイティブな思考との関連を調べました。研究グループが注目したのは、問題を解決する能力(収束的思考)とクリエイティブなアイデアを生み出す能力(拡散的思考)へのカフェインの影響でした。
研究グループは18~35才の男女88人(女性60人、男性28人)をランダムに、カフェイン200mg(約350mlのコーヒーに相当)のカプセルをとるグループと、偽薬のカプセルをとるグループの2つに分けました。対象者にはカプセル摂取後に「収束的思考」「拡散的思考」「作業記憶」という異なる能力を必要とするテスト問題を解いてもらいました。実験の開始前と終了時に、気分の変化について調べるアンケートにも回答してもらっています。
問題解決力が上がり気分よく
今回の研究から見えてきたのは、カフェインの効果として現れるのは、さまざまなアイデアを生み出していくクリエイティブな能力よりも、問題に集中して解決する能力ということ。200mgのカフェインをとっていた人で高まったのは収束的思考だったのです。拡散的思考では差は見られませんでした。作業記憶についても関連性は示されませんでした。カフェインをとっていたグループでは、気分の落ち込みが少ないことも示されました。
研究グループは、「カフェイン200mgの摂取は、問題を解決する能力を高めたが、クリエイティブな思考にはなんら影響しなかった」と今回の実験結果をまとめています。加えて今回の実験からいずれの能力にも「低下」はなかったことから、悪影響はないとも指摘します。こうしたカフェインをとるメリットを知ることは、コーヒーを飲むタイミングを考える参考になるのかもしれません。
<参考文献>
Caffeine Boosts Problem-Solving Ability but Not Creativity, Study Indicates
https://news.uark.edu/articles/52447/caffeine-boosts-problem-solving-ability-but-not-creativity-study-indicates
Zabelina DL, Silvia PJ. Percolating ideas: The effects of caffeine on creative thinking and problem solving. Conscious Cogn. 2020;79:102899. doi:10.1016/j.concog.2020.102899
https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S1053810019303435
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32086187/