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肩周りのゴリゴリ感が気持ちいい。理学療法士に教わる! 肩こり解消エクサ
外出できずデスクワークやテレワークが続いて運動不足になると、体の可動域が狭くなって筋肉や関節が硬くなり、体力も衰えて免疫力も低下していくお話を前回の記事でご紹介しました。今回はアスレティックトレーナーで理学療法士の伊藤彰浩さんに「肩こり改善に効くエクササイズ」を教えていただきます。
Contents 目次
肩こりを引き起こす「肩甲骨」の位置
肩こり特有の姿勢として「頭部前方突出位(FHP:Forward Head Posture)」と呼ばれる姿勢が注目されています。
この姿勢は、頭が前に垂れて、あごを前に突出した姿勢のことをいいます。また、この「頭部前方突出位」の姿勢をとっている人の多くが「巻き肩」となっています。巻き肩になればなるほど、肩甲骨の位置はそれにともなって外側に広がっていくので、背中側の筋肉は引き伸ばされた状態になります。引き伸ばされた筋肉では、筋肉内の血流が悪くなり、老廃物が蓄積することで肩が重だるくなったり、首から背中にかけての筋肉が鉄板のようにカチカチに固まってきます。
肩こりを根本的に改善させるには、1か所の筋肉だけが引っ張られるような姿勢をできる限り長く続けないことが大切です。デスクワークやテレワークが続くと、どうしても肩甲骨が外側に移動し、それにともなって肩も日常的に「巻き肩」となってしまいます。
じつは肩こりの原因は「肩」ではない!?
これは意外と知られていないことですが、腕を上げるときには腕の骨(上腕骨)だけでなく、「鎖骨」と「肩甲骨」が連動して動くことが正常な肩の動きとなります。
例えば、右腕を真っすぐに降ろしたところから腕を上げていく動作を行うときに、右肩はどこから動き始めると思いますか?
正解は…鎖骨です!
これは意外に思った人も多いかと思います。
では、本当に「鎖骨」から動いているのか実際にチェックしてみましょう。
右肩を上げ始める前に反対の左手を右の鎖骨の前方に軽くふれておいてください。そのまま右腕を上げていくと右腕の動きに合わせて鎖骨が徐々に上がっていく動きを感じられると思います。右腕を下に降ろしていくときは、鎖骨は徐々に下がっていきます。腕をグルグル大きく回す際にも、鎖骨のつけ根を支点に肩が動いていることを確認できるかと思います。つまり、肩の動きには鎖骨の動きが関わっていることを意味しています。
次に「肩甲骨」の動きもチェックしてみましょう。
先ほどと同じ動作ですが、右腕を上げる前に左手を右のわきの下に軽くふれておきます。そのまま右腕を上げていくと体の外側から硬い骨が出てくることを感じられると思います。これは肩甲骨の一部であり、肩甲骨が肩の動きに関わっていることを意味しています。
肩こりなどの肩のトラブルは、鎖骨や肩甲骨がしっかりと動いていないことで起きていることも多いので、このことをしっかりと理解していただき、次にご紹介するエクササイズを行うときにも鎖骨と肩甲骨の動きを意識しながら行ってみてください。骨の動きに意識を向けることでよりエクササイズの効果も高まってきます。
肩こり改善エクササイズ「アーム・サークル」
可動域いっぱいに肩を動かすことは、肩甲骨周りのこり固まった筋肉をほぐすとてもよい運動です。デスクワークや家事、子育てで同じ姿勢をとり続けることが多い人は、ちょっとした空き時間を活用して、筋肉の緊張をほぐして体の循環を高めていきましょう。腕を動かすときに「鎖骨のつけ根」や「肩甲骨」の動きを意識して行うとより効果的です!
【方法】
(1)まず脚を腰幅に開いて立ち、左手で右ろっ骨の外側に軽く手をあてます。そのポジションからゆっくりと右腕を上に挙げていきます。
(2)次に、手のひらを外側に返しながら、右肩甲骨の内側を背骨の方向へ引き寄せていきます。このときに胸部(みぞおち辺り)を軽く前に突出することで、自然と背骨の丸みもなくなってきます。
(3)手のひらを内側に返しながら、右肩甲骨を(1)のポジションに戻していきます。
これを左右10回ずつ行っていきましょう。
肩甲骨が正しい位置に収まれば、筋肉がムダに引っ張られることもなくなるため肩が
スーッとラクになり、肩こりも軽くなってきます。