新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によって、自宅トレーニングが人気に。巣ごもり生活で増えた体重に焦りを感じている人も少なくないのでは? 6月にはフィットネス施設も再開となりました。各施設も引き続き感染症に注意を払っており、利用者も気をつける必要もあるのでしょう。海外で感染症とフィットネスの関係が研究されています。運動の仕方に関係するところですが、注意点を考えるヒントになるかもしれません。
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休業が広がったけれども
新型コロナウイルス感染症の対策として、日本でもフィットネス施設が使えない状況が続いていました。日本フィットネス産業協会は、フィットネス施設での感染拡大を防ぐためのガイドラインを発表して対策を進めようとしています。休業要請は解除されており、施設も再開されていますが、まだ街中では感染者が報告されています。ですから、フィットネス施設の使用においても感染に気をつけなければならない状況がしばらく続くとみておいたほうがよいでしょう。
施設も感染症に注意を払っており、さまざまな対策が行われています。たとえば、マシンを頻繁に消毒するなどの対策です。そのほか、エクササイズの内容にも工夫をするとよいのかもしれません。米国疾病対策センター(CDC)の発行する専門誌に掲載された韓国の研究では、新型コロナウイルス感染症が拡大するなかで、どのようなフィットネスが安全に行えるのかを分析して報告しています。
そもそも韓国ではフィットネス施設でのダンスクラスで感染者が発生していました。今回、研究グループは、こうしたフィットネス施設での感染拡大のデータを基に、どのようなクラスで感染者が出やすかったのかといった情報を分析。今後、どのようなフィットネスであれば感染者が出にくいのかを報告しています。
感染しやすい条件とは?
研究からわかったのは、感染症が広がりやすいフィットネスにはいくつかの要素が関係していることです。多くの場合、インストラクターから生徒に感染が広がっていました。そのうえで、感染しやすい条件は「大人数のクラスである」「小さな空間で行われている」「運動の強度が激しい」という点が考えられました。激しい運動をしたときに気をつけたいのは、湿気や熱気による空気中の水滴の粒子。積極的な換気で対策するのはやはり大切だといえそうです。
最初の感染者から、次々とうつってしまうのは“三密空間”との関係もありそうです。研究では、5~22人が60平米ほどの部屋で激しい運動を50分行った場合が問題になっていました。同じスペースでも5人未満であれば感染は起こっていませんでした。空間とそのなかに入る人数への配慮も気にするとよいのでしょう。
フィットネスの激しさも関係するようで、インストラクターが感染していた場合でも、7~8人のピラティスやヨガでは感染は起こっていないことも確認されました。
研究グループは、調査は完璧に感染者を調べきれたわけではないと認めつつ、感染が広がるなかでは、小さいグループであっても、激しい運動を緊密な空間で行うのは避けたほうがよいのではと指摘しています。換気に気をつけたり、余裕をもったスペースでエクササイズをするようにしたりするなどの工夫は重視されているところですが、今回のような研究も参考にしながら適切に対応していくのが重要といえそうです。
<参考文献>
『フィットネス関連施設における新型コロナウイルス感染拡大対応ガイドライン』(日本フィットネス産業協会)
https://www.fia.or.jp/wp-content/uploads/2020/01/fia_guide.pdf
Jang S, Han SH, Rhee JY. Cluster of Coronavirus Disease Associated with Fitness Dance Classes, South Korea [published online ahead of print, 2020 May 15]. Emerg Infect Dis. 2020;26(8):10.3201/eid2608.200633. doi:10.3201/eid2608.200633
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32412896/
https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/8/20-0633_article