ダイエットやボディメイクの必須項目となった筋トレ。筋トレにまつわる研究も進み、科学的な根拠がしっかりとでき上がってきて、最近は筋トレとメンタルの関係も注目されています。「筋トレは単に筋肉をつけるだけではなく、仕事やメンタル、健康という人生における最重要項目のクオリティーを引き上げる力をもっています」と話すのは、日本最大のコンテスト団体ベストボディ・ジャパンを主宰する谷口智一さん。今回は、谷口さんの書籍『10万人が注目! 科学的に正しい人生を変える筋トレ』からみていきましょう。
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筋トレがメンタルに効く理由
1.幸福ホルモンが分泌される
心の健康に大きく関わっているセロトニン。セロトニンは「幸福ホルモン」とも呼ばれ、不足するとメンタル不調の原因になりえます。セロトニンは幸福感だけでなく不安の軽減も担っていることがわかっています。
「セロトニンを分泌するには太陽光が必要不可欠。また、リズム運動を行うことでセロトニンを増やすことができるため、ウォーキングやスクワットなどの筋トレが効果的です。一定のテンポをキープすれば、筋トレもリズム運動になります」
また、同じように幸福感と関係するのがドーパミンです。たくさん分泌されるとやる気や意欲が高まります。
「ドーパミンは達成感を覚えると分泌が増えるといわれています。1セット10回といった小さな目標でもクリアすれば達成感を覚えることができるでしょうし、1回20分のトレーニングをこなせば、これまた達成感を味わえるはずです。筋トレはドーパミンを手っとり早く増やせるのです」
2.背すじが伸びると幸福感が上がる
サンフランシスコ州立大学の研究では、背すじがぴんと伸びた人はポジティブな記憶や考えを記憶する能力も高くなることが明らかになっています。
また、それ以外にも背すじが伸びた人に気分の高揚も観察されたほか、背すじを伸ばして座ることでストレス耐性を上げるということもわかっています。
「このように姿勢ひとつで気分にまで影響を与えることはさまざまな研究で明らかになっているのです。“背すじを伸ばす”、つまり筋トレでパワフルなポーズをとるだけでも幸福感や気分の高揚が認められています。日ごろから背すじを伸ばすように意識することも重要ですが、フィジカルの面からバックアップしてあげることも効果的でしょう。つまり背すじを伸ばしやすくする筋肉を鍛えるのです」
3.自律神経のバランスが整う
心身の健康に関与する自律神経。自律神経のバランスを整えることでメンタルの調子や睡眠の質がよくなります。
「ウェイン州立大学の研究では、運動によって延髄の神経細胞の形状が変化し、ストレス信号を減らすことがわかっています。運動すると交感神経がさらに高まりそうですが、意外にも興奮を抑える作用があるのです」
メンタルを強くする最強の筋トレ
【ノーマルスクワット】(中級レベル)
(1)両腕を胸の前でクロスさせ、顔は正面を向き、脚は肩幅くらいに広げ、背すじはピンと伸ばす。
(2)両腕と顔はそのままで、 お尻を突き出しながらしゃがみ込み、ひざは軽く曲げる。(1)(2)を10回くり返す。
「スクワットは、キング・オブ・トレーニングです」と谷口さん。筋トレにはビッグ3といわれるトレーニングがあり、そのひとつがスクワット。ほかはベンチプレスとデッドリフトです。
ビッグ3といわれる理由は、「まず“コンパウンド種目”といって、複数の関節が連動するメニューだからです。複数の関節が連動していることは、複数の筋肉を同時に鍛えることも意味します。つまり、一度にたくさんの筋肉を鍛えられる。加えて、多くの筋肉が動員されますから、大きい重量をもち上げることができる。筋トレの効果は基本的に重量に比例しますから、効率的にトレーニングが行えるわけです」
スクワットの注意点は「ひざ」です。部活動でしていたような真下にしゃがみ込むスタイルはNG。
「本来のスクワットは、ひざはほとんど前に出ません。重心をうしろに落とし、お尻から沈み込む。そして太ももの裏やお尻で体を持ち上げるのが正しい方法です。ひざが前に出るとケガの原因になってしまうほか、効率的に下半身の筋肉を鍛えることができません。コツは、目線は下を向かずに真っすぐにすること。背すじは伸ばしたまま。特にノーマルスクワットでは、背中が丸まりやすいので注意してください」
ビッグ3のトレーニングのなかでも自宅で気軽に行えるのがスクワット。ひざに負担がかかっていないか気をつけながら、1日10回を目安に取り組んでみましょう。
文/庄司真紀
参照元
『10万人が注目! 科学的に正しい人生を変える筋トレ』(SBクリエイティブ)