ボディメイクのためにトレーニングにどう取り組めばいいのかは悩みどころです。体に目に見えるような効果が現れるのかはまだまだわからない点も多くあります。海外の研究では、トレーニングに対する体の反応として思わぬ結果が現れると報告されました。片腕を鍛えると、反対側の腕も筋力が高まるというのです。
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片腕を鍛えるとどんな効果がある?
体の筋肉量を維持するには常に動かしていなければいけません。健康であっても、トレーニングを休むと、自然と筋肉は落ちていきます。それはケガをしてギプスで固定したときなどになおさら顕著。ケガが治ってからリハビリのために筋力を回復するのは大変です。
オーストラリアのエディスコーワン大学の研究グループは、片方の腕が固定された状態で、もう片方の腕の筋力をトレーニングしたとき、固定された腕の筋力への影響について調べました。健康な人を対象にして、利き腕と異なる腕を1日8時間、4週間にわたって固定してもらいました。そのうえで、固定されていない利き腕のトレーニングを行った場合と、行わない場合で、固定された側の腕の筋力に現れる変化を比べたのです。
固定した腕の筋力低下も防ぐ
ここからわかったのは、固定しない利き腕の運動に取り組むことで、固定していて動かしていないもう一方の腕の筋力にも影響があるということです。具体的には、重いダンベルを持って腕を曲げた状態から伸ばす運動(偏心運動)のみを行ったグループにおいて両腕の筋力を保つ効果があると認められました。運動しなかったグループでは28%の筋力低下が認められましたが、運動に取り組んだグループでは2%の筋力低下にとどまったのです。
研究グループでは、今回の曲げた腕を伸ばす運動が、アスリートにも応用ができる可能性があると指摘しています。ケガのあとの回復を早めるため、ケガをしたのと反対の腕のトレーニングを行うことで、ケガをした腕の筋力の低下も小さくできるからです。ボディメイクを考えるうえでも、こうした体の不思議な反応を参考にしてみるとよいのかもしれません。
<参考文献>
Exercising one arm has twice the benefits
https://www.ecu.edu.au/news/latest-news/2020/10/exercising-one-arm-has-twice-the-benefits
Valdes O, Ramirez C, Perez F, Garcia-Vicencio S, Nosaka K, Penailillo L. Contralateral effects of eccentric resistance training on immobilized arm. Scand J Med Sci Sports. 2020 Sep 8. doi: 10.1111/sms.13821. Epub ahead of print. PMID: 32897568.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32897568/