大人の女性の不調を解決し、心と体に潤いをもたらす「膣ヨガ」を紹介する本連載。最終回のテーマは、女性なら誰もが経験する「更年期」です。更年期に現れやすい症状の予防・緩和法を、膣ヨガの考案者であり、セラピスト&インストラクターの鈴木まり先生に教えてもらいました!
Contents 目次
“体をゆらす“膣ヨガメソッドで自律神経を調整
更年期とは、閉経を挟んで前後5年、トータル10年の期間をさします。
女性ホルモンの分泌は、脳の視床下部によってコントロールされ、視床下部がホルモンの分泌を促す司令を出します。すると、脳の下垂体が、その司令をキャッチし卵巣を刺激。卵巣から女性ホルモンが分泌されます。ところが、更年期に入り、卵巣機能が低下すると、視床下部がホルモン分泌を促す司令を出しても、卵巣から女性ホルモンがスムーズに分泌されず、脳が混乱することに。脳の視床下部は、女性ホルモンの司令塔であると同時に、自律神経の司令塔でもあるため、女性ホルモンの乱れが自律神経に悪影響を及ぼし、ほてりやのぼせ、めまい、イライラ、気分の落ち込みなど、さまざまな症状を招くことになります。
こうした自律神経のアンバランスによる更年期の症状の予防・緩和をサポートするのが「膣ヨガ」です。
「膣ヨガには『体を揺らす』というメソッドがあり、体を揺らすことで脳のパフォーマンスが整えられ、自律神経のバランスを調整できます。そのため、更年期に現れやすい症状の予防や緩和を期待できるのです。また、体を揺らすと、肩の力や背中のこわばりなど、体のよけいな力みが抜けやすくなり、心身がオフモードになることも、更年期の女性の体や心のケアにつながります」(鈴木先生)
体に入ったよけいな力みは、意外ととりにくいもの。膣ヨガで意識的に力みをとる練習をし、自律神経のバランスを整えましょう!
ホットフラッシュを緩和してくれる「お尻ゆらゆら膣ゆるめ」を動画でチェック!
お尻をゆらゆら揺らすことで体のよけいな力を抜きやすくなり、自律神経のバランスを調整。ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)など更年期に多い症状をケアします。夜、寝る前に行うと気持ちよく眠りに入ることができるので、なかなか眠れない、熟睡感を得られないなど、睡眠に関わる更年期の症状の緩和にも役立ちます。
〈1〉うつ伏せになり、両脚をこぶし1個分ほど開く。両手の上に顔をのせ、ラクな姿勢に。
〈2〉お尻を左右にゆっくり、2〜3分揺らしながら全身の力を抜いていく。
ゆっくり、ゆらゆらと、お尻だけを揺らすのがポイントです!
すき間時間で子宮のパワーアップを!「揺れてゆるめてリラックス&ヒップサークル0」
体を揺らし、大きな丸を描くように腰を回すことで、心身をリラックスすることができます。また、子宮内の血流がよくなり、子宮のパワーをアップ。スペースをとらずにできるので、日常生活のすき間時間に積極的に行って。
〈1〉脚を肩幅よりやや広めに開いて立ち、お尻を左右に大きく揺らす。お尻の揺れに合わせて上半身をユラユラ動かし、肩の力を抜き、腕の重みを感じながら2〜3分続ける。
〈2〉体の力が抜けたら、ひざを軽く曲げ、両手を体の前に伸ばす。
〈3〉お尻と膣に力を入れ、お尻で床に丸を描くように、腰を前→左→後ろ→右に、ゆっくり大きく左に5回、右に5回まわす。
腰を回すときは、前を通るときは上半身をうしろに反らし、お尻と膣を締めて恥骨を前に出すように。うしろを通るときは、上半身を前に倒し、お尻をできるだけうしろに突き出して。
「体を揺らす」膣ヨガで、体のよけいな力を抜く感覚をつかむことができましたか? 膣ヨガは、更年期の体や心の変化に寄り添い、不安を解消してくれるメソッド。大人の女性の心強い味方として、日常生活にとり入れてみてはいかがでしょう。
撮影/山上忠 取材・文/野口美奈子 動画編集/しぶちこ
【参考書籍】
『心とカラダをON&OFF! 膣ヨガ』(宝島社)