アスリート女子。彼女たちは栄養素をバランスよく摂取しながら、食事量をうまく調整して体づくりを行い、競技に臨んでいます。そんなアス女の皆さんに健康的な食生活を送る秘訣を教えていただこうという企画『アス女飯』。第17弾は3x3バスケットボールプレイヤー花田遥歌選手にお話を伺いました。
Contents 目次
「3x3バスケットボール」ってどんな競技なの?
今回ご紹介する3x3バスケットボールプレイヤー花田遥歌選手(29歳)は、現役時代は実業団で5人制バスケットボールを続けてきましたが、新天地を求めて上京し、一昨年3x3(スリーエックススリー)プレイヤーとして競技変更を決断しました。「遠回りでも自分にしか進めない競技人生を歩みたい」と新たな道を進み始めた花田選手。その決断の裏にはどのような思いがあったのでしょうか。今回のアス女飯は、新しい競技をはじめた花田選手の挑戦とともに、コンディショニングの整え方や食事法を紹介します。
第16弾・女子サッカー・牛島理子選手の記事はこちら。
『男子アスリートに負けない体づくりのコツ! 女子サッカー選手の食事管理法 #アス女飯』
花田選手と3x3(スリーエックススリー)の出会い
3人制バスケットである3x3は、国際バスケットボール連盟(FIBA)が正式ルールを設けて2007年から正式競技種目として親しまれている競技です。3x3ではプロ・アマを問わず、クラブチームの世界戦があり世界各国で行われる予選大会に挑戦できます。オリンピック競技としても注目されており、国内でも着実に認知度をあげている競技です。
5人制バスケットボールとのルールと比較してみると、トラベリング(ボールを持ったまま3歩以上歩く)やダブルドリブル(ドリブルのあとシュートをせず再びドリブルをすること)などの基本的なルールは同じですが、3x3はコートを半面しか使用せず、ボールは専用の6号球を使用するといった違いがあります。10分1本勝負でどちらかのチームが先に21点とればその時点で試合終了するなど、3人制独自のルールも多く設けられています。花田選手はもともと5人制バスケットボールの選手でしたが、一昨年3人制への転向を決断したそうです。興味を持った理由について伺いました。
「5人制バスケットボールを続けてきた自分にとって、3人制ってどんな感じなのかずっと興味があったんです。ゲーム中、音楽がかかっていたりMCの盛り上げもあったりとまるでパフォーマンスを楽しむような雰囲気があるのですが、そんな中で自分もプレイしてみたい!と思ったのが始まりでした」(花田選手)
花田選手にとって3x3は未知の世界。どうすればチームに所属できるかまったくわからなかったそうです。そんな中、一昨年11月に知人の紹介で3x3で活躍する選手から話を聞く機会に恵まれ、千葉BExが3人制チームを新規で立ち上げることを知ったそうです。
「大学卒業後所属した実業団が新規立ち上げのチームだったので、ゼロからチーム作りに関わるといったことに関しては慣れていたというか、苦労はあってもやりがいがあることを理解していたので、新規チームというのはまったく抵抗はありませんでした。むしろ自分に合っていると思い、千葉BExでプレイさせていただきたいと思いました」(花田選手)
花田選手の生い立ちと上京の経緯
花田選手の故郷は青森県津軽。小学3年生からバスケットボールをはじめ、中学(津軽中学校)高校(柴田女子高等学校)で青森県大会で優勝し、3年連続インターハイにも出場。仙台大学では東北選抜入りを果たしました。卒業後、当時は立ち上げとなった秋田の実業団プレステージインターナショナルに2015年に入団し、キャプテンとして活躍。秋田代表にも選出されました。そして2017年に一大決心しチームを退団、上京しました。この上京には秋田時代のチームメイトの影響を大きく受けたと言います。
「もともと東京に出てどこまでやれるのかを試してみたいという想いがありました。そんな中、秋田時代に出会った台湾人のチームメイトである張綺芳(チャン・チーファン)という選手との出会いが自分の背中を押してくれた気がしますね。彼女は台湾代表選手だったのですが、母国ではなく日本の新規チームに所属する選択をしました。すごい選択だと思いませんか! とにかくどこにでも楽しんで行こうとする選手で、彼女の開拓心みたいなものに大きく刺激を受けました。ひとつの場所で極めるのもいいけれど、いろんな場所で人と関わりながら成長していく姿っていいなと思ったんです。張選手のように興味を持ったら、まず飛び込んでみようと思うようになりました」(花田選手)
トレーナー業とプレイヤーの両立生活
花田選手が千葉BExに所属をはじめたのは昨年から。それまでは東京でトレーナー業をして自分のパフォーマンスを維持できるようにトレーニングしながら、どこかでプレイできる場所はないかずっと探していたそうです。
「私が所属しているジムでは単に筋肉を鍛えることがゴールではなく、より実用的、機能的に動くために必要なファンクショナルなトレーニングを追求できる環境でした。例えば、元MLBヘッドS&Cコーチ友岡和彦さんのコアトレーニングを勉強させていただいてバスケットに使えるアジリティ、瞬発力、心肺機能を分けたアスリートのパフォーマン向上のための運動科学の基礎を学ぶことができました。
ジムでトレーナー業務をしながら私自身もパフォーマンスを上げて、競技復帰する場所も模索できたと思います。体づくりや、体のメンテナンスに関しても、実業団時代よりも自分しだいでいかようにもなるので、個人としての意識は高くなったと思います。食事も、忙しい中でもなるべく自炊するようになりました。管理される生活よりも、プレイヤーとしていかに個人で体づくりをするかを楽しみながら学んで、自分自身に落とし込んでいく楽しさを感じています」(花田選手)
花田選手直伝!野菜の彩りやバランスを意識した「アス女飯」
色味やバランスを得に意識しているという花田選手。
今回は献立の中のハンバーグのレシピを教えていただきました。
<献立>
ハンバーグ、白菜ときのこのスープ、ライス
<材料(1人前)>
玉ねぎ 1/2個
サラダ油 適量
牛豚合いびき肉 120グラム
卵 1/2個
パン粉 大さじ2
牛乳 大さじ1
塩こしょう 少々
氷 2個
ケチャップ 適量
中濃ソース 適量
バター 15グラム
(つけ合わせ野菜)
ブロッコリー 適量
にんじん 1/5本
ズッキーニ 1/6本
缶詰コーン 適量
砂糖 適量
しょうゆ 適量
サニーレタス 3枚
ベビーリーフ 適量
スプラウト 適量
プチトマト 3個
イタリアンドレッシング 適量
<作り方>
1. 玉ねぎをみじん切りにし、適量のサラダ油を引いたフライパンでキツネ色になるまで炒めて冷ましておく。
2. ブロッコリーはゆで、にんじんは1㎝角に切って、ズッキーニは輪切りにし、缶詰のコーンは水切りしておく。
3. 牛合びき肉に冷ました玉ねぎ、卵、パン粉、牛乳を入れて塩こしょうで味つけする。
4. (3)が混ざったところで氷を2個入れてさらに混ぜて、タネに粘りがでてきたら成形して丸めておく。
※氷を入れることで、手の温度で脂が溶け出してしまうのを防ぎます。脂が溶け出してしまうと、肉汁がなくなってしまうので、タネを温めないために氷を入れて混ぜます。
5. 中火のフライパンにサラダ油を入れ、丸めた具を両面焼く。
6. 一旦焼いたものをとり出して、残った肉汁にケチャップ、中濃ソース、バターを加えてソースを作っておく。
7. 別のフライパンにサラダ油を引いて、(2)で準備しておいたにんじんとコーンを炒めて砂糖としょうゆで味つけする。
8. 手でさいたサニーレタス、ベビーリーフ、スプラウトに輪切りにしたズッキーニ、プチトマトをお皿の上にのせてイタリアンドレッシングをかけ(7)を盛りつけて、最後に焼いたハンバーグをのせてソースをかけたらでき上がり。
忙しない生活の中で自炊することができないことも多いそうですが、そんなときも意識しているのは彩りのよい野菜の摂取。そしてたんぱく質、炭水化物、汁物も意識しながら食べるように心がけているそうです。
コロナ渦を超えて挑んだ関東大会で優勝
一昨年12月に千葉BExの新規立ち上げがはじまった矢先、世界中を襲った未曾有のコロナ渦。3x3のプレミアリーグは本来ならば昨年8月から月1回ペースで始まっていたそうですがコロナによって試合開催はされず、先が見えない状況が続いたそうです。
それでも気持ちは折れなかった花田選手。昨年7月に千葉BExメンバーで顔合わせしたときのことを振り返って次のように語ってくれました。
「コロナで試合は開催できなくても、メンバーと会ってかなり救われましたね。それぞれ場所は違えどバスケットをしてきた選手たちだったのですぐに仲よくなれました。メンバーとどんなチームにしようかを話し合ったとき“今までそれぞれ厳しい世界でやってきたからこそ次のステージは楽しくやろう。楽しく、そして、勝つチームになろう”と話したんですよ。メンバーに会って不安が解けたのを覚えています」(花田選手)
練習ができないときも個人でいかに体づくりができるか常に考えられたという花田選手。実業団時代と同じような体ではないけれど、そのぶん経験でパフォーマンスを下げないために何をすべきかわかるようになったのを感じたそうです。
昨年10月から遅いスタートとなったプレミアリーグでしたが無事試合が行われ、新規立ち上げにも関わらず千葉BExは千葉県で優勝。
そしてジャパンカップの出場権を獲得しました。12月20日には3x3.EXE PREMIER JAPAN 2020 CUP powered by SUPER SPORTS XEBIOというプレミア大会に出場も果たしました。全国は2回戦敗退。しかし、確実に爪痕を残してシーズンを終えることができました。
「もともと、いろんなことを体験して自分で知ることの楽しさを感じて生きていたいという想いがあります。それを貫いたからこそプレミアの切符もつかめたと思っています。まだ3x3の世界に飛び込んだばかりでどうなるかはわからないけれど、これからも、この自分らしく! 遠回りでも自分にしか歩めないバスケット人生を歩みたいと思います」(花田選手)
まずは飛び込んでいく。進みながら過程を楽しむことを忘れずに、自分にしか歩めない人生を歩もうというまっすぐさ。それこそが花田選手の魅力だと感じました。
【取材協力】花田遥歌(ハナダハルカ)
1992年青森県生まれ。身長:161cm /体重:54kg /ポジション:PG/SG
小学3年生よりバスケットボールを始め、中学(津軽中学校)高校(柴田女子高等学校)で青森県大会優勝・3年連続インターハイ出場・国体出場(2010年少年女子)。仙台大学では4年時に主将を務め、東北大会準優勝のほか、インカレ出場・東北選抜入り。
卒業後は秋田の実業団プレステージインターナショナルに入団、秋田代表として出場した国体では3位の戦績を残しました。(2017年で実業団を辞める)
一度はバスケットボールを離れて東京でトレーナーに転身しましたがGRIT NATIONでの活動の中でパフォーマンスがまだ伸びることを確信し競技復帰。2019年東京ベルディゴールドジムチーム所属。
2020年より東京ベルディゴールドジムを辞め、3x3千葉BExにて活動中。Instagram