スマートフォンなどのモバイル機器は一人一台の時代。健康志向が高まるなかで、モバイル機器のアプリ上で健康管理することも一般的になりつつあり、アプリの種類もさまざま。このたび海外研究でそうしたアプリの実力を分析。アプリで体重を減らすなど、使っている人へのメリットはどれくらいあるのでしょうか。
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健康アプリをどう使う?
スマートフォンに提供されているアプリでは、ダイエットや運動など健康管理目的のものが人気。このほかにも睡眠やストレスの管理ができるものなど種類も増えています。気になるのは、こうした健康アプリの効果があるのか。使っていても、体重が減らなかったり、運動の習慣をつけられなかったりすれば、残念でしょう。また、利用する人によって効果の差がある可能性もあります。うまく利用して健康効果を高める人、すぐザセツしてしまう人にはどんな特徴があるのでしょうか。
このたびオーストラリアのマッコリー大学の研究グループは、55人の男女を対象として、アプリをうまく使えているのかを調べました。BMIの値、体重や運動量の変化を踏まえて、アプリの効果を検討したのです。正常体重とBMIの高い肥満傾向にある2つのグループに分け、体重や運動量を測定できるSNS機能を備えた健康アプリを6か月間使ってもらい、毎週のBMIの変化を調べました。
人によっては合わない可能性
こうして明らかになったのは、肥満傾向がある人は、アプリの効果が出づらいという事実でした。全体で45人が6か月間のアプリ使用を続けたのですが、全体で見るとBMIは変わっていないという結果でした。ただし、最初の4週間では全体ではBMIは0.34減っており、肥満傾向のあるグループでも0.86減っていたのです。これが最終的に戻ってしまったのは、肥満傾向のあるグループの脱落者のためでした。自分が太り過ぎているという現実に直面したくないためではないかと、研究グループは推定します。
太りすぎのグループは三日坊主になりやすいわけですが、正常体重グループはザセツせずに、6か月の間に1日の歩数を大幅に増やすなど効果も見られました。アプリはいろいろありますが、自分に合ったものと合わないものもあるというのは盲点かもしれません。種類も多いですので、使いづらければ、別のものを使ってみるような工夫も必要でしょう。
<参考文献>
Laranjo L, Quiroz JC, Tong HL, Arevalo Bazalar M, Coiera E,A Mobile Social Networking App for Weight Management and Physical Activity Promotion: Results From an Experimental Mixed Methods Study,J Med Internet Res 2020;22(12):e19991.
https://www.jmir.org/2020/12/e19991