フィットネスに取り組むときにどう栄養をとるかという話題は尽きません。そんななかで空腹の状態での運動が脚光を浴びているようです。スポーツにおいて特に持久力が求められる場合に、空腹時のトレーニングが運動の能力を高めると考えられているのです。このたび空腹時のトレーニング中にたんぱく質をとるとさらに力が出やすくなるという研究結果が出ています。効果が表れやすいのは女性だけといいます。どういうことなのでしょうか。
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男女のサイクリストとランナーで調査
朝、何も食べていない状態では、エネルギー源が不足しがちになります。エネルギー源となる糖質は血液、肝臓、筋肉に蓄えられていますが空腹だとこれも減ってしまっています。
ところが、空腹状態で持久力を要するスポーツをすると新陳代謝を高める効果があることがわかってきたそう。糖質や脂質を効率的に利用できるようなのです。その際、お腹が空き過ぎて低血糖になったり激しい運動ができなくなったりしないよう、たんぱく質の補給がポイントになるそう。
今回、南アフリカ共和国の研究グループは、男女のサイクリスト(自転車に乗る人)と男性ランナー合計24人を対象として、朝の空腹時トレーニング中にたんぱく質を補給した場合の効果を調べました。対象者を2つのグループに分けて、一方にはたんぱく質(加水分解カゼイン)、もう一方にはただの水をどちらかわからないようにして飲んでもらいます。そのうえで負荷を増やしていく運動やタイムトライアルなど同じトレーニングをしてもらい、それぞれの結果を比較しました。
出せる力がアップ
ここから判明した効果が、たんぱく質をとった場合に、より力強い運動が可能になるというものです。効果が現れたのは女性だけだったのですが、エネルギー源になる炭水化物のエネルギーへの変換が増えたほか、限界と感じる運動のレベルが上がったのです。男性ではこうした効果は現れないこともわかり、男女差があるようでした。
研究グループは、女性はたんぱく質をとることで、空腹時のトレーニング効果を高めることができるのではと指摘しています。将来は女性の生理周期を考慮した研究や、長期間の効果を調べる研究が必要ということですが、ふだんの運動でも参考にできるかもしれません。
<参考文献>
Oosthuyse T, Florence GE, Correia A, Smyth C, Bosch AN. Carbohydrate-Restricted Exercise With Protein Increases Self-Selected Training Intensity in Female Cyclists but Not Male Runners and Cyclists. J Strength Cond Res. 2021 Jun 1;35(6):1547-1558. doi: 10.1519/JSC.0000000000004046. PMID: 33927115.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33927115/
https://journals.lww.com/nsca-jscr/Abstract/2021/06000/Carbohydrate_Restricted_Exercise_With_Protein.10.aspx
Protein supplements work for women, but not men, during fasted carb-restricted training
https://medicalxpress.com/news/2021-07-protein-supplements-women-men-fasted.html