筋トレは脂肪を減らす効果があっても、体重はあまり減らないと考えられがち。でもこのたび、筋トレでも体重とBMIは減り、カロリー制限を一緒に行えば有酸素運動と同じくらい体重を減らせるという報告がありました。しかも、この組み合わせなら、脂肪が減って筋肉量が増えるだけでなく、それを維持することもできるそうなのです。
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筋トレは体重を減らさない?
減量といえば有酸素運動に取り組むのが一般的かもしれませんが、体重オーバーの人ではとくに、ランニングやトレッドミル運動でひざや腱などを痛めてしまう場合もあります。一方、筋トレは脂肪が減って筋肉がついても、筋肉のほうが脂肪より重いために体重は落ちにくいと考えられています。でも、健康のためにはただ体重が減ればいいわけではありません。筋肉量、つまり除脂肪体重が増えれば代謝や生理機能に大きく影響しますし、減る脂肪の部位(皮下脂肪か内臓脂肪か)によっても健康効果は変わります。
そこで今回、オーストラリアの研究グループは、筋トレの詳しい効果について、過去の研究をまとめて調べてみました。とくに太った人を対象として、筋トレを含む運動を行うグループと行わないグループに分けて体組成や部位別の脂肪の変化、体重の減り具合などを比較した研究を収集。同時にカロリー制限や低脂肪食などのダイエットを組み合わせた研究も含めました。
性別や年齢を問わず効果あり
その結果、わかったのは、筋トレだけでも体重とBMIが減り、カロリー制限を一緒に行えば、有酸素運動とカロリー制限を組み合わせた場合と同じくらい体重が減るということです。また、筋トレにカロリー制限を加えると、筋トレだけの場合や筋トレに有酸素運動を加えた場合よりも体脂肪率と総脂肪量が大きく減らせました。それだけでなく、筋トレによって増えた筋肉量が維持されました。これらの結果は、性別に関係なくほぼすべての年齢層で見られました。さらに、筋トレと有酸素運動の組み合わせによって内臓脂肪と皮下脂肪の両方とも、有酸素運動だけの場合より大きく減るとわかりました(とくに中年層で)。
体重と脂肪量を減らす効果、それに筋肉量の増加と維持という効果を考えると、カロリー制限に加える運動として筋トレを考慮する価値があるのではないかと、研究グループは強調。重要な点として、筋トレと有酸素運動のどっちがいいかではないと指摘しています。というのも、体重を減らすならば、何よりも摂取カロリーを控える必要があるから。そこについては注意をうながしています。
<参考文献>
Lopez P, Taaffe DR, Galvão DA, Newton RU, Nonemacher ER, Wendt VM, Bassanesi RN, Turella DJP, Rech A. Resistance training effectiveness on body composition and body weight outcomes in individuals with overweight and obesity across the lifespan: A systematic review and meta-analysis. Obes Rev. 2022 May;23(5):e13428. doi: 10.1111/obr.13428. Epub 2022 Feb 21. PMID: 35191588.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/obr.13428
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35191588/
Weights can be weapons in battle against obesity
https://www.ecu.edu.au/newsroom/articles/research/weights-can-be-weapons-in-battle-against-obesity