肉をはじめとした動物性食品よりも、野菜や果物などの植物性食品中心の食事だという人は増えているかもしれません。ただ植物性食品だけだと問題も起こり得るようなのですが、海外研究によると、筋トレに取り組むと、そのデメリットを防ぐ効果があるそう。動物性食品をふつうに食べている場合と変わらなくなるといいます。参考にしてよいかもしれません。
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植物性食品中心の食事のデメリットとは?
健康志向や環境配慮などのトレンドのなかで、植物性食品を中心とした食生活を選ぶベジタリアンが世界的に注目されています。同じベジタリアンでも魚もとるペスカトリアン、動物性食品を徹底的に避けるヴィーガンといったバリエーションがあります。なかでもヴィーガンは話題に上ることが増えています。植物性食品だけをとる食生活には、栄養素が不足する懸念もつきまといます。具体的には骨折や骨密度の減少のリスクが高くなると報告されているのです。
今回、ウィーン医科大学などオーストリアの研究グループは、ヴィーガン生活を5年以上続ける男女43人と、肉を含む一般的な食事をとっている男女45人(いずれも健康で肥満でない人)を対象に、CTスキャンによる骨の検査を行いました。同時に血液検査により十分に骨が新しくつくられる代謝機能が保たれているかどうかも評価。ふだんの食事と運動についてのアンケートに答えてもらいました。どちらのグループも、およそ半数が定期的に筋トレを続けていました。
筋トレすると骨も強くなる
こうした調査から確認されたのが、ヴィーガンの生活を続けていると実際に骨が弱くなるものの、筋トレを続けている人では、骨がふつうの食事をとっている人と同等の強さを保てていることでした。
具体的には筋トレを週1回以上のペースで続けていたヴィーガンの人は、筋トレをしていなかったヴィーガンの人より骨が強かっただけでなく、やはり週1回以上の筋トレを続けていたふつうの食事の人と同様の骨の強さが保たれていました。一方、筋トレをしていなかったヴィーガンの人は、筋トレをしていなかったふつうの食事の人より骨が弱いという結果。また、有酸素運動だけをしていたヴィーガンの人は、骨の強さの点では運動をまったくしていなかったヴィーガンの人と同様であることもわかりました。
血液検査ではどちらのグループも骨が新しくつくられる代謝機能については健康的な範囲に収まっていましたが、ふつうの食事のグループのほうがカルシウムのレベルが高く保たれていました。研究グループによると、ヴィーガンの人ではカルシウムの摂取量が低い可能性があるようです。ヴィーガンの場合、十分に計画された食事メニューに加えて、しだいに負荷を高めていくような筋トレを続けることが骨の健康に大切と説明しています。
<参考文献>
Vegans who lift weights may have stronger bones than other people on a plant-based diet
https://www.endocrine.org/news-and-advocacy/news-room/2022/vegans-who-lift-weights-may-have-stronger-bones-than-other-people-on-a-plant-based-diet
Wakolbinger-Habel R, Reinweber M, König J, Pokan R, König D, Pietschmann P, Muschitz C. Self-reported resistance training is associated with better HR-pQCT derived bone microarchitecture in vegan people. J Clin Endocrinol Metab. 2022 Aug 4:dgac445. doi: 10.1210/clinem/dgac445. Epub ahead of print. PMID: 35924941.
https://academic.oup.com/jcem/advance-article-abstract/doi/10.1210/clinem/dgac445/6651590?redirectedFrom=fulltext