今や運動のひとつとしてふつうに受け入れられているヨガ。世界的に広まるにつれて、心身両面におよぶその効果についての科学的な証拠も集まりつつあります。海外研究によると、一般的な有酸素運動にヨガを追加することでプラスの効果が大きいよう。ストレッチ運動を加えた場合よりも、よい結果が出るようです。
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ヨガにも取り組むとよい?
ヨガはほかの運動に負けないほど心身を健康に保つ効果があると報告されてきました。たとえば、ある海外研究では、ホットヨガが血圧やストレスによい影響を与えるといいます。そのほかにもヨガは科学的にも健康につながる効果が証明されてきました。ヨガに取り組むことで、心臓や血管の健康につながるほか、メンタルを改善する効果も期待。ひいては病気の予防にもつながると考えられています。
今回、カナダの研究グループは、体の動きという点でヨガと似ているストレッチ運動と比較しながら、ヨガの健康への効果を調べてみました。高血圧でメタボと診断された60人を2つのグループに分け、週5回、30分の有酸素運動に15分のヨガを加えるプログラム、または15分のストレッチを加えるプログラムをそれぞれ3か月間行ってもらいました。そのうえで、血圧とBMIのほか、心拍数、血糖値、血液中の脂質など心臓や血管の健康状態を示す指標を測定して比較しました。研究を始める前のこれらの指標のほか、年齢や性別、喫煙者かどうかなどの条件は、両グループで同じでした。
ストレッチよりも健康の改善効果
こうした研究から確認されたのが、ヨガを加えたプログラムを選んだグループのほうが、ストレッチを選んだグループよりも、健康への効果が高いと見られたことです。具体的には、いずれのグループもすべての要素で改善が見られましたが、ヨガのほうが血圧と安静時心拍数の減少幅が大きくなっていました。特に収縮期血圧の低下は、ストレッチのグループが4 mmHgだったのに対して、ヨガのグループは10 mmHgと大きな差がつきました。また、各要素の数値に基づいて、10年間に心臓や血管系の病気になるリスクを予測する計算をしたところ、ヨガのグループのほうがリスクの低下が認められました。
ヨガの血圧改善効果については、ほかにも科学的証拠が出ていますが、そのメカニズムについては十分に解明されていません。今回の結果を受けて研究グループは、ヨガの効果が単に体のストレッチに基づくだけではないことがわかると指摘。血圧、心臓や血管の健康に関しては、医薬品に頼る以外にも、その人に合った方法で運動とストレスの緩和を心がけることが大切ですが、有酸素運動に追加するなら、単純なストレッチ運動よりヨガのほうが効果的な可能性があるとしています。
<参考文献>
Adding yoga to regular exercise improves cardiovascular health and wellbeing
https://www.elsevier.com/about/press-releases/research-and-journals/adding-yoga-to-regular-exercise-improves-cardiovascular-health-and-wellbeing
Can J Cardiol December 07, 2022DOI:https://doi.org/10.1016/j.cjca.2022.09.019
http://dx.doi.org/10.1016/j.cjca.2022.09.019