私たちの生活では、日常的によく行う動作と、ほぼ行うことのない動作があります。このことは、それに付随する筋肉にも影響し、使い過ぎてしまう筋肉と、怠けすぎて弱い筋肉を作り出してしまいます。体のほとんどの動きに関わる股関節も、こうした動作のアンバランスによって、かたくなっていきます。今回は、そんな股関節をほぐし、お腹やヒップなどを引き締める方法を、骨盤矯正パーソナルトレーナー・整体師のNaokoさんの『寝たままペタ腹! 股関節ほぐし』(主婦の友社)からお伝えしていきます。
Contents 目次
股関節には6つの動きがある
骨盤のくぼみに、球状の骨がカポッとはまった形状の股関節。股関節の動きは次の6種類ありますが、日常の動作にあてはめて考えると、頻繁に行う「使いすぎ」の動きと、ほとんど行うことがない「怠けすぎ」の動きとで、二極化してしまいます。それが、股関節をかたくする原因なのです。
ひとつひとつ見ていきましょう。
1、脚を前に上げる「屈曲(くっきょく)」【使いすぎ】
歩行時やジョギング時のほか、座る、しゃがむときの股関節を曲げる動きにあたります。現代人の多くは日常動作でほぼ屈曲の動きしかせず、使い過ぎによって股関節がかたくなる原因に。
2,脚をうしろに上げる伸展(しんてん)【怠けすぎ】
「屈曲」と対になる動きですが日常動作ではほとんど見られず、使わなさ過ぎによりかたくなり、腰痛の原因に。大また・速足で歩くときや、ジャンプ、バレエや体操競技の動作などで見られます。
3,脚を内側に寄せる「内転(ないてん)」【使いすぎ】
日常動作では転びそうになってこらえる際や、寝返りを打つときに両脚を交差させる動作で見られます。
4,脚を外側に広げる「外転(がいてん)」【怠けすぎ】
日常動作ではほとんど見られませんが、遠くのものをとるときのうしろ脚が当てはまります。そのほか、バレエの動作や陸上競技のハードルをまたぐ動作なども「外転」の動作です。
5,脚を内向きにひねる「内旋(ないせん)」【使いすぎ】
日常動作では転びそうになってこらえる際や、内股で立つときに見られます。
6,脚を外向きにひねる「外旋(がいせん)」【怠けすぎ】
陸上競技のハードルをまたぐ動作が代表的ですが、日常動作ではほぼ見られません。
日常動作の大半に関わる「股関節」は体の土台
股関節は骨盤と脚の骨をつなぐ、体の中でいちばん大きな関節です。
「人の体を建物に例えるならば、筋肉の土台はお尻、そして関節の土台は股関節。股関節には、歩いているだけで体重の3倍、走ったり階段を上ぼったりすると4~5倍の重みがかかり、日々それを支えています」
股関節は可動域が広く、多様な動きをするのも特徴で、立つ、座る、歩く、走る、ジャンプするなど、人間のあらゆる動作に関わっています。
前述のように股関節の動きは、日常生活で行う動作だけではバランスの悪い状態になっていますが、それを解決してくれるのが股関節ほぐしです。股関節をほぐすと同時に、使い過ぎている筋肉をゆるめ、怠け過ぎている筋肉を鍛えれば、バランスのよいボディメイクができます。
股関節ほぐしでボディメイク
〈お腹やせ〉5~10回
(1)あお向けで両脚を上げて、ひざを90度に曲げる
あお向けになり、両腕はひじを曲げて手の甲を床に。難しい人は体に添わせてOK。
(2)息を吐いてひざを伸ばし、吸って曲げる
ひざを伸ばして、しっかりと息を吐きましょう。ひざは完全に伸ばさず、少しゆるめた状態でもOK。
〜やせるPoint〜
ひざを伸ばすときは、しっかりと息を吐きながら行い、お腹に圧をかけましょう。これを徹底するだけで下腹部へのききめがアップ!
〈ヒップアップ〉左右ともに5~10回
(1)横寝でひざを曲げて 左右のかかとを合わせる
体の左側を下にして横になります。左腕で頭を支え、右手は胸の前でサポート。左右のかかとを合わせて。
(2)右のお尻に力が入るまで右ひざを大きく開いていく
右のお尻にキュッと力が入るまで、息を吐きながら右ひざをできるだけ開きましょう。反対側も同様に。
〜やせるPoint〜
骨盤の位置を固定すると お尻&お腹に効く!
骨盤がグラグラと揺れやすい姿勢のため、手でサポートしながら安定させましょう。骨盤を一定の位置に保つことで、お尻やお腹の筋肉にきいてきます。
〈脚やせ〉左右ともに5~10回
(1)横寝で左脚を伸ばし、右足首を右手でつかむ
体の左側を下にして横になります。左腕はひじを曲げて、手のひらで頭を支えて。
(2)右つま先を支点に右ひざを外側に回す
息を吐きながらひざを外側に回転。反対側も同様に。
〜やせるPoint〜
お尻の力をゆるめずひざを回すこと
手で足首を持つと足の位置がロックされるため、つま先が支点になり、効果が高くなります。難しい人は大きく動かさなくてOK。
股関節をほぐすと、さまざまな筋肉が連動し、体が動きやすく、活動的になります。体の巡りも変わってくるので、ふだん使われない股関節の動きを意識して、エクササイズにとり組むとエクササイズ効果が格段に上がるでしょう。
文/庄司真紀
参考書籍/『寝たままペタ腹! 股関節ほぐし』(主婦の友社)