筋肉の量を増やして、健康にも美容にもよいと注目の筋トレ。でも、さまざまなプログラムがあって、どれが効果的なのか悩ましいところです。このたび海外研究では、どんな筋トレでもやらないよりは筋量と筋力が増えると報告されました。そのうえで、筋量と筋力を高めるための効果的なメニューについての発見もありました。
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新しい手法で多くの研究結果を分析
今回の研究でも紹介されていますが、ひとくちに筋トレといっても、そのプログラムには運動の種類や順序、動作のスピードや回数、負荷の量など、たくさんの要素が含まれ、どんな組み合わせがベストなのかについてはさまざまな意見があります。なかでも、1回の動きの負荷の量、セット数(ひとつの動きを連続してくり返す回数)、そして頻度(ひとつの筋トレプログラムを週に何回行うか)の3要素については、特に研究が進んでいるといいます。
運動に関するガイドラインなどでは、こういった要素について、過去の研究結果を分析したうえで推奨事項を定めています。しかし、多くの研究では特定の要素が筋肉の量や力、身体機能に与える影響を調べているため、多くの要素の組み合わせによる結果や差異はあまり明らかではありません。
そこで今回、カナダ・マックマスター大学と英国の研究グループは、さまざまな組み合わせを同時に比較できる新しい分析手法(ネットワークメタ解析と呼ばれます)を使って、負荷、セット数、頻度の組み合わせによる効果の違いを分析してみました。健康な成人を対象として、筋トレをするグループとしないグループに分けて比較している過去の研究を集め(筋力についておよそ180件、筋量についておよそ120件)、筋トレプログラムを負荷、セット数、頻度の組み合わせで12種類に分類して、筋肉の量と力に与える影響を検証しました。
筋量はすべてのプログラムで同様にアップ
こうして研究で確認されたのが、どの筋トレプログラムでも、やらなかったグループに比べて筋肉の量と力が向上したことです。
低負荷でも筋力は向上し、高めの負荷(正しいフォームで1回だけ挙げることができる最大重量の80%超)で、筋力増強が最大になりました。また、筋量はすべてのプログラムで同様の向上が見られました。
多くの筋トレプログラムで同程度の効果が見られましたが、最も効果的だった組み合わせは、筋力を高める場合、高負荷で、セット数2回以上、頻度は週3回でした。一方で、筋量を高める場合は、高負荷、セット数2回以上、頻度は週2回がよいことが認められました。このような結果から、研究グループは、「少しでも運動するほうが、何もしないよりはいい」という世界保健機関(WHO)の見解を支持しています。
<参考文献>
Currier BS, Mcleod JC, Banfield L, Beyene J, Welton NJ, D’Souza AC, Keogh JAJ, Lin L, Coletta G, Yang A, Colenso-Semple L, Lau KJ, Verboom A, Phillips SM. Resistance training prescription for muscle strength and hypertrophy in healthy adults: a systematic review and Bayesian network meta-analysis. Br J Sports Med. 2023 Jul 6:bjsports-2023-106807. doi: 10.1136/bjsports-2023-106807. Epub ahead of print. PMID: 37414459.
https://bjsm.bmj.com/content/early/2023/07/06/bjsports-2023-106807