「疲れがとれにくい」「肩や首がこる」「頭痛がする」などなど、何かと不調に悩まされている女性は多いはず。 何とかしたい!と思ったら、「まずはお尻や太もも裏をストレッチするといいんです」とはトレーナーの坂詰真二先生。「疲労とお尻に関係が?」いったいどういうことなのでしょう?
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“なんとなく不調”をもたらすのは、使われずにかたくなった筋肉
そもそも、疲れや体のコリ、冷えといった不調をもたらす原因は、どこにあると思いますか? 現代人の多くは、筋肉の柔軟性が衰えている、つまり体がかたくなっています。パソコンに一日中向かうデスクワークや、長時間のスマホなども大きな要因。同じ姿勢をとり続けるということは、見えないギブスで全身を固定されているようなもの。使われない筋肉は衰えて柔軟性を失います。かたい筋肉によって各関節にがっちりとサポーターをしているのと同じですから、スムーズに体を動かすことができにくくなりますし、骨格のゆがみにもつながります。まずは、自分の体がどのくらいかたくなっているか、チェックしてみましょう。
★首の前、胸、お腹の柔軟度チェック
1.足を肩幅に開いて立ち、両手を軽く腰に置きます。目線はまっすぐ前に。
2.お尻から下を動かさずに、首をゆっくり後ろに倒しながら、目線を真上に上げていき、そのまま30秒キープします。
これはNG!
ひざや腰を曲げるのではなく、まっすぐな姿勢のまま、首だけを倒します。
いかがでしたか? 痛くてきついという人は、胸鎖乳突筋(首の前側の筋肉)と大胸筋(胸の筋肉)、腹直筋(お腹の筋肉)が固まっている証拠。日常生活では上を向く時間より、下を向いている時間のほうが圧倒的に長いため、これらの使わない筋肉が固くなるのです。
では、この3か所の筋肉をやわらかくすればいいかというと、じつはそうではありません。例えば電車の中などでよく見かける、スマホを見るときの姿勢。背中を丸め、腰を突き出し、ひざを曲げています。下を向くことで重心が崩れるため、倒れないように全身でバランスをとっているのです。この姿勢を長く続けていると、本来は少し前傾しているはずの骨盤が、後傾してしまう。後傾したままだと、やがてお尻やもも裏の筋肉までかたくなります。
では次に、お尻の筋肉の状態をチェックしてみましょう。
★お尻の柔軟度チェック
<1>
1.足を肩幅に開いて立ち、両手を床と並行となるように、前方に突き出します。
2.足裏を床につけたまま、ゆっくりとしゃがみます。
<2>
1.椅子に座ってひざの真下で足を肩幅に開きます。背すじを床と垂直にまっすぐ伸ばしたら、手のひらをひざの横に置きます。
2.背すじを伸ばしたままゆっくり前傾。できるだけひじをひざに近づけ、お尻の筋肉に痛みを感じる手前で5秒間キープ。
いかがでしたか?
<1>でしゃがむときに後ろに倒れそうになった人は、大殿筋(お尻の筋肉)がかたくなっていて、骨盤が後傾している可能性が大です。重心が後方に移動しているため、しゃがむと後ろに倒れてしまうのです。
<2>でひじがひざに触れるところまで前傾できなかった人も同じ。お尻がかたいと、股関節を軸に前屈できないため、背中を丸めて前傾してしまいます。この動作が腰に負担をかけ、腰痛などの原因に。
では最後に、もも裏の筋肉を見てみましょう。
★もも裏の柔軟性チェック
1.壁に寄せるなどして固定した椅子に浅めに座ります。足を軽く開いてひざを伸ばし、かかとを床につけて足首を直角に曲げます。背すじを伸ばし、腕を下方に伸ばして手をももに置きましょう。
2.背すじとひざを伸ばしたまま、ゆっくりとできるだけ前傾し、もも裏に痛みを感じる手前で5秒間キープ。
指先が足首にふれるまで前傾できない人は、ハムストリングス(太ももの後部の筋肉)の柔軟性が低下しています。大殿筋と同様に骨盤を後傾する要因になっているのです。
お尻は建物でいえば基礎部分。最優先でストレッチしよう
このように、首の前、胸、お腹の筋肉がかたくなっている人は、もれなくお尻やもも裏もかたくなっているはず。最優先でほぐすべきなのは、じつはお尻なのです。骨盤や太ももなど下半身は、建物でいえば基礎になる部分。椅子に座る生活が長い現代では、主に体を支える役割をしているのは、お尻です。まずここを正しい状態に戻さなければ、首や肩のこりをマッサージで伸ばしても、根本的な解決にはなりません。ストレッチでお尻の筋肉を柔らかくほぐして、股関節もしっかり使えるようにすることが、骨盤を矯正し、上半身の筋肉をほぐすことにつながります。さらに、血流を促して疲れや冷え、イライラを改善し、代謝のいい若々しい体を作ることにも役立つのです。
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撮影/山上忠 モデル/米持愛梨 ヘア&メイク/斎藤節子 取材・文/田所佐月
衣装協力/トップス¥6300、タイツ¥6300、シューズ¥8300/ニューバランス・ジャパン(価格は税別)