多くの人が「リンパ」という体の機能について、その名前を耳にしたことがあると思います。イメージするのは、どんなふうに体をめぐり、どのような働きをする「リンパ」でしょうか。今回紹介するのは、腸のリンパ節。リンパのイメージからはちょっと遠いかもしれませんが、その名の通り腸の周辺に存在し、代謝や便秘などとも深い関わりがあるリンパなのです。腸リンパ節を流す方法について、コンディショニングトレーナーの古森美紀さんに聞きました。
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内臓の働きを低下させるリンパの滞り
「リンパは、血管に沿って体中に張りめぐらされ、アンモニアや尿酸など体内の老廃物の回収する働きがあります。リンパは手足の末端からスタートし、各部位にあるリンパ節で合流。リンパ節は全身に大小合わせて約800か所あるといわれ、腸のリンパ節は鎖骨下やわき、そけい部やひざ裏などと並ぶ大きなリンパ節です。流れが滞ると、腸のほか周辺の内臓の働きが衰え、代謝が低下。便秘やむくみなどの原因にもなってしまいます」(古森さん)
腸にあるリンパ節は、体の深部にある「深(しん)リンパ」という種類。そのため、流れを促すには、いわゆる「マッサージ」では、効果がないのだといいます。
「体の表面からさすっても深部にあるリンパには届きませんが、体を動かして筋肉を刺激することで深部にあるリンパの流れを促すことができるのです。特に、深リンパに近い、インナーマッスルとよばれる深部の筋肉のストレッチが効果的です」
腹式呼吸で日常的に腸リンパ節の流れを促す
深リンパを刺激する方法としておすすめなのが腹式呼吸。腹式呼吸は、インナーマッスルを刺激する効果的な“ストレッチ”なのです。まずは、腹部のインナーマッスルを動きやすくし、腹式呼吸をスムーズに行うためのメニューです。
- あお向けになり、両手をおへその下あたりに当てます。鼻からゆっくり息を吸い込み、お腹にたっぷりと空気を送り込みます。下腹に当てた手を押し返すようなイメージで、お腹をふくらませましょう。
- 口からゆっくりと息を吐き出します。できるだけ長く息を吐いて、息を吐き切りましょう。自分のお腹をえぐり背中を押しつけるようなイメージで、お腹をぺしゃんこにします。1〜2を3回くり返します。
腹式呼吸の感覚をつかんだら、腹式呼吸をしながらさらに大きくお腹のインナーマッスルを動かしてみましょう。
- イスに浅く腰をかけます。両腕を胸の前に伸ばし、ひじを軽く曲げて手を組みます。ここで鼻から息を吸います。
- 両腕は伸ばしたまま、背中を丸めて口から息を吐きます。あごを引いて顔を下に向け、お腹で腰を後方に押し、両腕は前方に引っ張るイメージで。あごを引いて顔を下に向け、長く吐いて息を吐き切りましょう。1〜2を3回くり返します。
呼吸をしているだけなのに、下腹部から体がポカポカしてきませんか。ストレスを感じていたり、腹筋の動きが悪いと、私たちはお腹ではなく、胸を使った浅い胸式呼吸をしがちになってしまいます。ぜひ、腹式呼吸を身につけて、腸リンパ節の流れとともに内臓の働きをアップさせましょう。
撮影/山上忠 取材・文/馬渕綾子