血管に沿って全身に張りめぐらされ、その流れが滞ると、体調や体型、美容面など広く私たちの体に悪影響を与えるリンパ。実は、流れる場所によって2つの種類に分けられます。リンパの滞りによるトラブルを効果的に改善するためにも、リンパについてちょっと深く知っておきましょう。リンパのしくみに詳しいコンディショニングトレーナーの古森美紀さんに聞きました。
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深部にあるリンパは内臓の働きや代謝に影響大
「皮膚のすぐ下を流れているリンパは『浅(せん)リンパ』といい、皮膚と筋肉の間に位置します。一方、インナーマッスル周辺の体の深部に位置するのが『深(しん)リンパ』。滞ると、近くにある内臓の働きがダウンしたり、老廃物が回収されず血液がドロドロになって内臓に栄養素が届きにくい状態に。すると、代謝が低下し、脂肪がつきやすい体になってしまうのです」(古森さん)
ボディラインに大きく影響する「深(しん)リンパ」。リンパの流れを促すというとマッサージを思い浮かべがちですが、深リンパの流れを改善するのに適しているのは、体を動かして深部の筋肉を刺激することだといいます。
「とはいえ、負荷の大きい筋トレは不要で、最適なのはストレッチ。デスクワークなどで同じ姿勢をとり続けたり、運動不足が続いたりすると、筋肉が縮んでリンパ管を圧迫します。その縮んだ筋肉を伸ばすとリンパ管への圧迫はなくなり、リンパは本来の流れをとり戻すのです。リンパには、血管のように血液を心臓に送り返すポンプ機能がないため、ストレッチによって深リンパ近くにある筋肉にアプローチする方法が有効なのです」
筋肉を刺激してお腹周りにある深リンパの流れを促進
そこで、もっとも脂肪のつきやすさややせにくさで悩むことが多い、お腹まわりのリンパの流れを促すストレッチを紹介します。
「ウエストをツイストした状態で呼吸をすることで、体の深層部に刺激を入れることになります。また、呼吸をくり返すことでもインナーマッスルに刺激が入るので、ウエストのむくみも流れやすくなり、結果としてお腹周りのサイズダウンにつながります」
1)イスに浅めに座り、つま先、かかと、ひざをつけます。骨盤を立て、かかとを床から浮かせたら、吸いながら背すじをすっと上に引き上げ、吐きながら上体を左にねじり、右手は左ひざ外側に、左手はイスの後ろ側に置きます。肩のラインを水平に保ち、背すじも伸ばしたまま、息を吐きながら背骨をらせん階段のように下からねじっていきます。最後は視線を左肩に。自然に呼吸しながら、ここで10秒キープ。反対側も同様に行います。
2)上体を戻し、かかとも床につけます。両腕を頭上に伸ばし、右手で左手首をつかみます。右手で左手首を上へ引っ張り、息を吐きながら上体を右上に伸ばしながら体側をしならせます。視線は左上に向け、自然に呼吸しながらここで10秒キープ。お尻をイスから浮かせずに、ろっ骨とろっ骨の間を開いていくようにイメージしながら行いましょう。反対側も同様に。
栄養が全身に行き届いて脂肪が燃えやすくなるほか、体の動きそのものによる運動効果、体の動きが大きくなることによる日常的な消費エネルギーの増加など、リンパの流れが改善すること以外にもうれしい効果がいっぱいのリンパストレッチ。1日のなかかでちょっとだけ時間をつくり、深部にあるリンパが流れやすくやせやすい体を手に入れてください。
文/馬渕綾子 写真/大野真人