息が止まっていたり、余分な力が入っている部分はありませんか。呼吸に意識を向け自分の体と対話することから癒しが始まります。心地よい呼吸をくり返すと、やがて体か温かく軽くなるのがわかります。呼吸整体師の森田愛子さんの著書『養生思考を身につける』から、森田さんの呼吸教室でも行なっている呼吸法をご紹介していきます。
Contents 目次
養生思考のための呼吸の練習
養生思考の土台である呼吸の練習法をご紹介します。
体操ではありませんから、難しくとらえることはありません。
最初は自分の呼吸がどうなっているかを観察して、体に息が自然に入り、出ていくのを感じます。
何回やったら効果が出る? などと考えないで、ただただ続けてください。
体の中心に息がすとんとおさまるのがわかったら、自然呼吸が引き出された証拠。
体は温かく、軽いのに存在感をもち、頭はすっきりとして、満たされたようなそんな感覚を味わえます。
体と対話する呼吸。深呼吸を味わう
具体的に呼吸の練習法をご紹介していきます。
自分の体の声に耳を傾け、それを受けとって従う、ということに実感を持てるようになると思います。これらは私が主宰する呼吸教室でもやっている動きです。 では、始めてみましょう。
まず、立った状態で、自分なりに3回ほど大きく深呼吸します。
その感覚を覚えておいてください。
1 そのまま立った状態で、 ひざを曲げずに前屈し、太ももの裏側を伸ばします。
ちょっと痛いくらいで、呼吸が止まらない程度に、10~20秒ほど前屈したまま。 このとき息を吐くという意識はせずに、呼吸は自然に放っておいてください。
2 体を戻して静止します。
静止していると、息が吸いたくなりませんか? 息を吸いたい衝動が出てきたら、衝動に従って鼻から息を吸い、口からゆっくり息を吐いていきます。
これをもう一度くり返します。前屈して戻ってから、必ず静止して息を吸いたいという衝動をしっかり感じてからそれに従うようにしてみましょう。
……やはり息が吸いたくなりませんか? 吸うということは吐くというのもセットです。鼻から息を吸って、口からゆっくり吐いていきます。
さらにあと5回くらいくり返してみましょう。
明らかに気持ちよく呼吸ができませんか? 最初にいきなり3回深呼吸したときの感覚を覚えていますか? そのときの呼吸よりも、気持ちよく、やりやすく、めいっぱい呼吸でき、また何度もやるととても気持ちいい感覚になっていると思います。
なぜそのようなことが起きるのでしょうか?
それは人間の体というのは、刺激に対して、それを自動的に調整しようという機能が備わっているからです。前屈という刺激を体に与えたことに対して、体が深呼吸したくなるという答えを返してくれているのです。
不思議に思うかもしれませんが、そういう働きがあります。これは意思の世界とは無縁の世界です。体が自然にやってくれていることのひとつです。
呼吸の練習は体操ではありません。やりたい気持ちを大切に、息が体を出入りする心地よい感覚を味わいましょう。
文/庄司真紀
参考書籍
森田 愛子 (著)『養生思考を身につける – 呼吸のプロが伝える「健康ながいき」のコツ』ワニブックス