骨密度を低下させないためだけではなく、若々しく美しい姿勢を維持して正しくトレーニングを行ったり、肌の弾力を保ったりするためにも、「骨の健康」を意識した生活が大事だといいます。毎日の生活のなかで骨の健康を簡単に手に入れる方法を、プロトレーナーの坂詰真二さんに教えてもらいました。
Contents 目次
ジャンプと同等の骨密度アップ効果がある階段下り
みなさんが「骨を健康にする方法」と聞いてイメージするのは、体操でしょうか。それとも、乳製品や小魚をたくさん摂取する食事でしょうか? 実は、私たちがふだんの生活のなかで、少なくとも「1日に1度」は必ず行っていることだったのです。
「それは、階段を下りることです。ジャンプをして着地し、骨に衝撃を与えると、骨が丈夫になることはこれまでもわかっていたのですが、階段を下りるときの刺激でも同程度の効果があることがわかったのです。実験では、週2回の階段下りで平均7.8%の骨密度がアップしました。階段を下りると足の指、かかと、すね、太もも、そして背骨まで刺激が伝わり、骨密度を高めてくれるんです」
筋力アップ、体重&体脂肪率ダウン効果も!
日常生活に密着した方法、というより、日常生活の一部ともいえる方法で、骨は健康になるというのですが、階段下りにはまだまだうれしい効果が!
「階段を下りるとき、後ろ脚のふくらはぎ、太ももの前側、お尻などの筋肉が伸ばされます。筋肉を縮めながら行う運動よりも筋肉を伸ばしながら行う運動のほうがじつは効果的で、実験では階段下りの前後で筋力が43.4%アップしました(※1)。ほかにも、筋力のアップに伴って代謝がアップし体重は➖3.2%、体脂肪率は➖4.1%という実験結果が出ました(※2)。骨を健康にしながら、やせやすい体づくりも同時に行えるのが階段下りなのです」
まずは、そんな階段下りを、より安全に、より効果的に行うための「基本姿勢」を身につけましょう。次回は、骨や筋肉への刺激をより高める「階段下りアレンジ版」を紹介します。
※1:階段下りの前後に「30秒間で何回イスから立ち上がれるか」というテストを行い、回数を比較
※2:週2回の階段下りを12週間行ったあとの体重、体脂肪率の平均変化
いずれもオーストラリア エディスコーワン大学 野坂和則教授の実験結果より。
階段下りの基本姿勢
片手で手すりをつかむ、または手すりに軽く触れます。背すじを伸ばし、目線はやや斜め下に。両足のつま先を常に正面に向けながら、左脚を一段下ろします。続けて右脚も一段下ろし、同じ段で両足をそろえたら、今度は右脚から一段下ろします。手すりと反対側の腕は、脚の動きに合わせて自然に振って。これをくり返します。
前から見ると
両脚のひざとつま先は、常に正面に向けておきます。
NG
脚を下ろすときに、つま先が外を向くのはNGです。ひざが開いたり、体が傾いたりするのもNG。いずれも、骨が受ける刺激が逃げてしまうだけでなく、O脚など悪い姿勢の原因にも。
美骨トレをもっとくわしく知りたい人は
撮影/徳永徹 ヘア&メイク/斎藤節子 モデル/取材・文/馬渕綾子