いつもよりハードな筋トレをしたり、ちょっと長めにランニングなどの有酸素運動をしたりすると、すぐにばててしまう。どうも持久力がない...。そんな悩みがある人は体に鉄分が足りていないのかもしれません。鉄というと貧血の人に必要な成分という印象がありますが、運動をする人にとっても重要なんです。中でも意識してとってほしいのが「ヘム鉄」。コンディショニング・トレーナーの桑原弘樹先生に詳しく伺いました。
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ヘム鉄の力で酸素不足を解消!
なぜ、運動する人にヘム鉄が必要なのでしょうか?
「運動というのはハードであればあるほど、たくさんの酸素を必要とします。その酸素を体内で運ぶ役割を担っているのが、血液中のヘモグロビンです。ヘム鉄は、このヘモグロビンの材料。ヘム鉄でできたヘモグロビンが酸素と結びついて体をめぐり、全身の細胞に酸素を供給するので、運動する人にヘム鉄が必要なんです」(桑原先生)
ちなみに鉄は、肉や魚などの動物性食品に含まれるヘム鉄と、野菜や海藻などの植物性食品に含まれる非ヘム鉄に分かれます。ヘム鉄は、非ヘム鉄よりもはるかに吸収率が高く、非ヘム鉄(三価鉄)は体内に入るとビタミンCなどに還元されて二価鉄(ヘム鉄)に変化して働くため、ヘム鉄をとるのが断然効率がいいのです。
つまり、ヘム鉄をとることで、体の酸素不足を補い、ハードな運動でもこなせるようになり、パフォーマンスの向上へとつながるんですね。
エネルギー作りで活躍するヘム鉄とコエンザイムQ10
運動の強度を上げたり、長時間にわたったりするとばててしまうのは、スタミナが足りていないのかも。すなわちそれはエネルギー不足。ヘム鉄は、そのエネルギー作りにも大きな役割を果たしています。
「酸素や、食事から吸収された糖質や脂質といった栄養素が、最終的には電子伝達系という経路を通ることでエネルギーは生み出されます。なので、エネルギーを作るのにも酸素は不可欠。そして、酸素の運び屋であるヘム鉄が、エネルギー生産工場といえる電子伝達系にも酸素を運搬しているから、私たちは元気に活動できるんです」(桑原先生)
ここで頼もしい助っ人として登場するのが、「コエンザイムQ10」という成分だと、桑原先生。
コエンザイムQ10といえば、高い抗酸化作用で美容サプリメントとしても人気ですが…?
「コエンザイムQ10のいちばん大きい役割は、エネルギーを作り出すときの補酵素としての役割なんです。電子伝達系で働く酵素を手助けしてくれるんですね」(桑原先生)
ヘム鉄とコエンザイムQ10は、体のエネルギー生産活動を活発にしてくれる組み合わせということ。この2つの成分のパワーによってエネルギーが効率よく作られれば、そのぶんスタミナがアップし、運動しても疲れにくい体になれるのです。
サプリメントを上手に活用しよう
ヘム鉄はレバーやあさりの佃煮や煮干などに豊富ですが、食事だけでハードな運動に対応できるだけのヘム鉄をとり入れるのはなかなか難しいかもしれません。サプリメントも上手に活用しましょう。
ヘム鉄とコエンザイムQ10、ともに配合されているサプリメントも市販されていますし、単体で販売されているサプリメントでもいいので、ぜひトレーニングの前に一緒に飲んでみてください。その際、パッケージに記載されている適量を守ること。
「非ヘム鉄は飲むと胃腸が荒れやすくなったりする場合があるのですが、ヘム鉄は基本的にその副作用はありません。ですが、どんな栄養素でも飲み過ぎは控えましょう」(桑原先生)
トレーニング後、前より息が上がらなくなった、心拍数が乱れなくなったと気づいたら、効果があった証拠です。
ヘム鉄で酸素とスタミナを十分とりいれてしっかり運動し、理想の体に近づきましょう!
文/すずきみずほ