激しいトレーニングをするスポーツ選手が積極的に摂取しているというBCAA。じつは、ダイエットで理想の体づくりを目指す人にもぜひとってもらいたい栄養素なのです。BCAAとは具体的にどんなものでどんな効能があるのか、コンディショニング・トレーナーの桑原弘樹先生に伺いました。
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ほかの必須アミノ酸にはない特徴を持つBCAA
体のさまざまな部位の材料となる、たんぱく質。そのたんぱく質を構成しているのがアミノ酸です。私たちの体を作る20種類のアミノ酸の中には、体内で合成できない9種類の必須アミノ酸があり、BCAAとは、必須アミノ酸のうちのバリン、ロイシン、イソロイシンの総称です。
「必須アミノ酸は、基本的に9種類がすべて揃わないと体の材料として機能しません。ですが、BCAAの3つの必須アミノ酸はちょっと特殊で、その9種類に含まれてはいるものの、3つだけで独自に活動することもできるという特徴を持っています。BCAAがいったいどこで活動するかというと、それは筋肉です」(桑原先生)
また、ほとんどのアミノ酸は肝臓にある酵素に反応して変化し、体のいろいろな材料になっていくのですが、BCAAは肝臓では変化を起こしません。BCAAに反応する酵素は肝臓ではなく筋肉中にあり、BCAAはそこで代謝され、筋肉内でエネルギーとしても使われるのです。
BCAAは筋肉回復の強い味方!
筋肉を構成する主要なアミノ酸であるBCAA。ですから、BCAAをとれば筋肉は発達しやすくなります。逆に体内でBCAAが減ると、筋肉は発達にブレーキがかかってしまいます。
ちなみにBCAAは肉や魚などのたんぱく質に含まれているアミノ酸ですが、エクササイズの際にとるにはサプリメントを活用するのが現実的です。
「トレーニングをして体を動かすということは、筋肉を動かすということです。筋肉を激しく使えば、BCAAはどんどん減っていきます。BCAAが足りない状態で運動すると、それだけ筋肉へのダメージは大きく、低下した筋力の回復も遅くなります。つまり、トレーニング前にあらかじめBCAAのサプリメントをとっておくのは、ボディメイクにおいて、とても効率的なことなんです」(桑原先生)
トレーニング以外、例えばレジャー的なスポーツの中にも、ハイキングやゴルフなど、自分が思っている以上に体を酷使しているものがあります。
「楽しいのでアドレナリンも出るし、テンションも高いですから、気持ち的にはそれほど疲れを感じていないかもしれません。しかし、筋肉はダメージを受けている場合が多いです。そういうときにも、ぜひ事前にBCAAを補充しておくことをオススメしますよ」(桑原先生)
BCAAは肝臓では変化しないと前述しましたが、その点でもほかのアミノ酸にはないメリットがあります。
「特定の栄養素を含んだサプリメントを飲んで肝臓を経由して代謝させれば、肝臓はそれだけ疲れるため、やたらにがぶ飲みしたりするのことはおすすめできません。しかしBCAAは肝臓を素通りしてしまうので負担がかからない。しっかりと飲んでも飲み過ぎるという心配がほとんどないんです」(桑原先生)
トレーニングの前だけでなく、最中や後にも安心してたくさん飲めるのがうれしいですね。
筋肉づくりに重要な役割を果たすBCAAは、トレーニングの効果をよりアップさせたいときの頼もしい存在です。大いに活用しましょう!
文/鈴木みずほ