「ひとりじゃないから、ガンバれる」トレーナーとチームメイトの励ましがやり抜くパワーに

５歳から競泳を始め、26歳で和歌山国体に出場したあと、競泳の世界から離れた神谷明子さん。引退後に通っていたスポーツクラブのトレーナーにすすめられたのが、クロスフィットとの出会いだったそうです。

「これまで経験してきたトレーニングとは違い、“同じ空間で、参加者全員が同じメニューにとり組む”ということにおもしろさを感じました。

各々のレベルやコンディションに合わせて負荷をかけ、メンバー全員が同時進行でメニューをこなしていきます。黙々とひとりで打ち込むのではなく、みんなで励まし合って同じゴールに向かうんです。『みんなもがんばってる』と思えるからこそ乗り切れるし、『負けられない』と闘志が湧いてくる。トレーニングをやりきった達成感を共有できる仲間がいるという、人とのつながりに魅力を感じます」

クロスフィットのメニューは、腕立て、腹筋、懸垂などの「体操」、おもりを使ったダンベルなどの「重量挙げ」、ランニングなどの有酸素運動を行う「メタボリックコンディショニング」から構成されます。

仕事のあと、２時間のトレーニングを毎日行うという神谷さんと一緒に、クロスフィットのボックスにお邪魔すると、その日は女性２名、男性１名のグループでトレーニング中。トレーナーの指導のもと、年齢も国籍も違うメンバー同士、同じメニューにとり組みます。達成したあとはメンバー同士でグータッチ。各々の晴れやかな笑顔が印象的でした。

クロスフィットを初めてわずか３年！世界大会という大舞台を経験

神谷さんがクロスフィットの世界に飛び込んだのは2017年のこと。わずか３年後の今年、見事国内予選を１位で通過し、「Reebok CrossFit Games」世界大会への切符を手にしました。

大会当日のイベント（種目）は前日まで明かされないため、選手はすべての種目を極める必要があります。ひとつのイベントごとにタイムや回数を競い順位がつけられ、４日間に渡る全工程を勝ち抜いた選手が栄光を手にすることができるのです。神谷さんは惜しくも２日目に進むことは叶いませんでしたが、初めての世界の舞台を「楽しかった！何度でもここに立ちたいと思える場所だった」と振り返りました。

「たくさんの出場選手のパフォーマンスを目の当たりにして、『ここまで限界に挑戦できる人間がいる』ということを実感したと同時に『自分の可能性はまだまだ高められる』と強く感じました」と笑顔を見せる神谷さん。

世界大会に出場したことで、日本や海外からさまざまなメッセージをもらい、世界のクロスフィッターとつながっているということ、応援してくれる人が世界中にいることを知ったそうです。

３年という短期間で急成長を遂げ、世界大会へと勝ち進んだ神谷さんですが、自身の筋力や能力について「今も伸びている！」と言い切ります。体と向き合い、一歩一歩限界を超えて進み続ける神谷さんが、再び世界の大舞台に立つ日も遠くないでしょう。

カメラ/布川航太　取材・文／佐藤有香