医学的アプローチで開発された自律神経を高める自律神経ストレッチ。考案した自律神経研究の第一人者・小林弘幸先生も30分に1回ずつ行っているそう。ほとんどの人が最初の一回で何らかの変化を感じることができるのもうれしいポイントです。今回は小林先生の著書『小林式自律神経ストレッチ』(末武 信宏監修、学研プラス)から、自律神経ストレッチの動きのコツと内臓のストレッチをお伝えします。
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連動して動かすことで自律神経機能を高める
自律神経を整える動きのポイントは脳、体幹、内臓、筋肉、関節、腱、じん帯など体を連動させて動かすこと。ただ手足をグルグル回したり、一部の筋肉を伸ばしたりするだけではなく、全身を総合的にストレッチしていきます。
「筋肉や内臓のどこに効いているか脳でイメージしながら、体幹を動かし、それと連動して手足を動かします。体の重心を固定することで、体幹部から指先までの筋肉が連動して体がスムーズに伸びるので、体の一部だけに負担をかけずに全身を総合的にストレッチできます。すると血流がよくなって血液が手足の末端まで流れ、自律神経機能のバランスが整います。ただ手足をグルグルと動かすだけではこのような効き目はありません」(小林弘幸先生)
日常では行わない動きをするストレッチも多いので、ふだん動かしていなかった筋肉が刺激され、体の連動のバランスもよくなります。
自律神経ストレッチ体驗談〜毎日の自律神経ストレッチで高血圧改善、腰痛改善、お通じもスッキリ!〜
自律神経ストレッチを長年実践している方から、体験談をお聞きしました。今回は、五十嵐 文江さん(85歳)の体験談をご紹介します。
「自律神経ストレッチを始めて10年になります。あのころは高血圧や腰痛に悩まされる毎日で、最高血圧 230もあり、治療の薬を飲むほどでした。そこで毎日朝と夜の2回、自律神経ストレッチをしたら、3〜4週間で血圧が安定してきたのです。行った主な自律神経ストレッチは、ワンツー呼吸法、頭と顔のタッピング、片足立ち足首揺らし、ひざ揺らし、腸管を刺激して腰を回すの5つ。腸管を刺激するストレッチでは 腸内環境がよくなり、お通じは毎日スッキリ。この歳で⁉︎と周囲から驚かれます。自律神経ストレッチが毎日の習慣にできたので、85歳でも元気いっぱいです」。
【自律神経ストレッチ】腸管を刺激して腰を回す
五十嵐さんが実践していた腸管を刺激して腰を回すストレッチは、インナーユニットを強化し、腸のぜん道運動を促進します。
内臓の血流をアップし、大腸を刺激、骨盤底筋が鍛えられて尿もれを改善する効果もあります。
(1)まっすぐに立ちます。片手をろっ骨のすぐ下、もう片方の手を腰骨の上におきます。正確な位置をギュッとつかみ、手をゆるめないようにしましょう。
(2)時計回りに骨盤を回します。次に反時計回りに骨盤を回します。(各8回ずつ)
(3)さらに左右の手の位置を替えて、時計回り、反時計回りに各8回ずつ骨盤を回します。
「お腹をつかんで骨盤を回すので大腸が効率よく刺激され、腸管のぜん動運動を促進します。すると内臓の血流がよくなり、副交感神経が高まります。さらに腹横筋を意識的に動かすことでインナーユニットも強化。骨盤底筋が鍛えられて頻尿や尿もれが改善、骨盤の位置が整います。食欲がないときにもおすすめです」(小林先生)
自律神経ストレッチは激しい動きはないので、朝・昼・晩3回を基本にいつでも行えます。まずは回数にとらわれず続けることから。体の不調解消のほか、緊張するシーンでも平常心でいられるなど、メンタルにも大きなメリットがあります。
文/庄司真紀
参考書籍
小林 弘幸著/末武 信宏監修『医師が考案 小林式自律神経ストレッチ―あらゆる不調を改善する、究極のメソッド。』(学研プラス)
小林弘幸先生
1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部教授・日本体育協会公認スポーツドクター。各種研究のなかで自律神経バランスの重要性に着目し、日本初の便秘外来を開設した腸のスペシャリスト。多くのトップアスリートや芸能人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる
末武信宏先生
1962年、岐阜県生まれ。さかえクリニック院長。医学博士(順天堂大学大学院医学研究科博士課程修了)。トップアスリート株式会社代表取締役。日本美容外科学会認定専門医としてアンチエイジング診療を行うかたわら、順天堂大学医学部非常勤講師としてスポーツ医学の研究を行う。JBC認定プロボクシングトレーナーとして活躍。オリンピック日本代表選手、プロ野球主力選手、ツアープロゴルファー、格闘家、トップアイドルなどのトレーニング指導、コンディショニングを行う