背中を丸めてスマホとにらめっこしたり、長時間同じ姿勢を続けていると、背骨がつぶれて血行不良や代謝が滞る原因に。やがて慢性的な疲労感が抜けなくなってしまいます。今回は、「やらないといけないのにやる気がしない…」というときに行いたい慢性疲労を解消するピラティスをご紹介します。医学とボディワークを融合したstudio「TAKT EIGHT」を主宰する中村尚人さんの書籍『いちばんよくわかる ピラティス・レッスン』(学研プラス)からお伝えします。
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縮こまった背骨ではやる気も低下
椅子に寄りかかって骨盤を後傾させた姿勢を続けたり、ヒールをはいて腰を丸めて歩いたり…。
現代生活のラクな姿勢で、背骨、特に胸椎のあたりが潰れたようになると、さまざまな不調をもたらすことに。
「ピラティスでは、背骨が健康の指標です。柔軟性と崩れない強さを兼ね備えたしなるような背骨は健康的な証。健康的な背骨を維持するため、すべてのエクササイズは曲げたり、反らしたり、ツイストしたりと、いろいろな背骨の運動が加わります」(中村さん)
「姿勢が悪くなったな」と感じたら重力に逆らって、背骨を伸ばしてみましょう。そしてその姿勢を維持するようにします。縮まった背骨では、代謝が滞ったり、やる気が低下したりと、全身の疲労感やなかなか抜けない慢性疲労につながります。
今回は、ピラティスの3つのエクササイズを組み合わせた疲労解消のプログラムをご紹介します。
慢性疲労を解消するプログラム
寝ても抜けない頑固な疲れ。背骨をほぐす&伸ばす動きで疲れた脳をリフレッシュします。また、全身を大きく伸ばすことで体の循環を促進。基礎体力もパワーアップします。
1 ローリング・ライク・ア・ボール 10回×3セット
ゴロゴロと転がり、硬く詰まった背骨をマッサージしながら、腹筋を鍛えます。姿勢を安定させて行いましょう。
(1)ひざを立てて座り、ひざ下あたりで両手を組む。
●首を長く保ち、肩を下げる ●肩甲骨を開き、背中を広く
(2)背中を丸め、視線はおへそに向けてひざと額を近づける。
●両手でひざを強く抱え込まない ●あごと首の間はこぶし1個分
(3)のひとつひとつを、床につけていくイメージでゆっくりと後ろに転がる。
●両手でひざを強く抱え込まない ●あごと首の間はこぶし1個分
(4)回転の勢いとお腹の力を使って起き上がる。
●頭頂を伸ばす ●ひじの角度は90度
Point ベッドの上は避けて、 ヨガマット、布団、畳など床が沈まない場所で行いましょう
2 サイド・ベンド 左右各10回×3セット
全身をグーンと伸ばす爽快感のある動きで、やる気スイッチをオン。胸がしっかり開き、呼吸も深まります。
(1)揃えた両脚を右側に崩して座る。 左手は手のひらを床につけて、指をしっかり開く。
(2)左手に体重を乗せながら腰を上げる。 同時に右手は大きな弧を描くように頭の上に向かって動かす。
●ひじをロックしない ●首を長く保ち、肩を下げる。 ●肩甲骨を開き、背中を広く
(3)右腕を頭上に伸ばし、 右の足先から手先まで伸びを感じる。 視線は右手の先に。ひと呼吸おいて1に 1~3をくり返し、反対側も同様に。
●体は床に対して垂直を保つ ●腰は落とさない ●内ももを寄せて引き締める
3 フロッグ 10回×3セット
重力に負けない引き上がった体作りは、同時に足裏のアーチも引き上げます。足重の外反母趾の軽減にも効果的。
(1)両脚を揃えて立つ。かかとはつけて、つま先はこぶし1個分あける。
●内ももを引き締める
(2)胸の高さで両腕で大きな輪を作る。内ももを寄せ合いながら、かかとを高く上げる。
●頭頂を天井に向かって真っすぐ引き上げる
(3)ひと呼吸後、ひざを曲げて腰を沈める。 ひざとつま先は同じ方向を向けること。 2~3をくり返す。
●肩を下げ、首を長く保つ ●頭頂を伸ばす ●ひじの角度は90度
ピラティスでは耳と肩をなるべく遠くに離し、首を長く保った姿勢が基本。
「人の体は、頭を持ち上げることで肩が自然に下がります。『肩に力が入るな』と思ったら、首を伸ばすことを意識して」と中村さん。
オフィスでも電車内でも首を長く保って、肩を下げるように意識してみましょう。
このプログラムはやる気が出て、体も頭も働くようになるので、忙しいときほど取り組んでみるといいと思います。
文/庄司真紀
参考書籍
中村尚人(著)『いちばんよくわかる ピラティス・レッスン』(学研プラス)