運動が心身ともによい影響をもたらすことはよく知られています。そしてこのたび、ふだんからウォーキング、ガーデニング、スイミング、ダンスなどをして活動的に過ごしている人は、運動不足の人と比べて、脳のサイズが大きいことが報告されました。運動には4年もの脳の若返り効果があるのだそう。超高齢社会といわれる日本でも注目されそうです。
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運動が脳のボリュームに影響?
運動など体を積極的に動かすことはダイエットや美容など幅広い効果につながりますが、脳にもよい効果があると考えられています。
このたび新たに運動の脳への影響が報告されたのは米国神経学会議(AAN)。米国コロンビア大学の研究グループが、平均年齢75歳の1557人を対象に調査したものです。対象者のなかに認知症患者はおらず、軽度の認知機能障害がある人が296人、アルツハイマー病の発症リスクが高くなるAPOE遺伝子をもっていたのが28%でした。
そのうえで、研究グループはアンケートの結果に基づいて、対象者を3つのグループに分けました。それぞれ「体を動かさないグループ」「多少は体を動かしているグループ」(週に低強度の運動を2.5時間、または中強度の運動を1.5時間、または高強度の運動を1時間)「よく体を動かしているグループ」(週に低強度の運動を7時間、または中強度の運動を4時間、または高強度の運動を2時間)です。年齢、性別、学歴、人種、APOE遺伝子の有無の条件も踏まえ、脳のMRI画像から脳の容積を比べました。
脳が4年若くなる!
こうした調査からわかったのは、ふだんから体を動かしている人は脳が大きく、身体的に若い特徴が見られることでした。具体的には「体を動かさないグループ」の平均的な脳のサイズは、871立法cmだったのに対し、「よく体を動かしているグループ」の脳のサイズは883立法cm。その差は12立法cm(1.4%)で、脳の老化の程度から見て4年の違いに相当していました。さらに、軽度の認知機能障害をもつ対象者を除外した場合も、同じ結果が見られました。
人生を通してよりたくさん体を動かすことで、脳の健康を保つ結果につながる可能性があるわけです。元気に生活するコツとして、長寿大国の日本でも参考になりそうです。
<参考文献>
WALKING, GARDENING, SWIMMING, DANCING MAY PREVENT BRAIN SHRINKAGE IN OLDER ADULTS
https://www.aan.com/PressRoom/Home/PressRelease/3780