「病は気」からといわれます。日々、ストレスを感じると、気持ちも滅入って、風邪をひきやすくなったという人がいるかもしれません。このたび米国の研究グループは、ストレスが続いたときに実際に風邪にかかりやすくなるのか実験。ウイルスの感染にストレスが重なってくると、たしかに症状悪化につながると報告しました。
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ストレスが体に悪影響?
自粛が続き自宅にこもる生活をしているとたまるストレス。睡眠をしっかりとったり、運動に取り組んだり、気晴らしの手段を見つけたりして、ストレスとうまくつき合うのは重要です。「病は気」からの言葉通り、ストレスが解消されないままたまってしまうと、風邪をはじめ病気にかかりやすくなるかもしれません。感染症に敏感な今、ストレス解消にはいつも以上に気をつかいたいところです。
そんななかで、このたび米国カーネギーメロン大学の研究グループが、ストレスを受けたときに実際に風邪の症状が出やすくなるのかを検証し、その結果を報告しました。研究グループは実験として、健康な大人に一般的な風邪のウイルスを含んだ液体を鼻にたらして、感染を受けてもらい、さらにストレスのかかる面接を受けた場合の影響を調べました。
炎症をコントロールできなくなる
研究からわかったのは、ストレスを受けると、風邪のウイルスに感染したときの症状が出やすくなるということでした。
研究グループが詳しく調べた結果、これはストレスを受けることで、体内のストレスに反応するコルチゾールというホルモンがうまく働かなくなるからであることがわかりました。ふだんであれば、コルチゾールが出てくることで症状をコントロールできるのですが、このコントロールが効かなくなっていたのです。
感染症などにかかると、体のなかでは炎症反応が起きて、病原体などを排除する効果を発揮します。ストレスがあると、コルチゾールによってコントロールされるはずの炎症がうまくコントロールできなくなり、炎症が過剰になってしまうのでした。この過剰な炎症のために、大量の鼻水やせき、のどの痛みといった風邪の症状が強く出てしまっていたのです。研究グループは、「風邪の症状はウイルス自体によって起こるのではなく、感染症と闘おうとして起こる炎症の“副作用”」と説明します。
病気に敏感になってしまう今の時期、できるだけストレスを解消できるよう、心を落ち着けられる工夫を見つけておくとよいかもしれません。
<参考文献>
How Stress Influences Disease: Carnegie Mellon Study Reveals Inflammation as the Culprit
https://www.cmu.edu/news/stories/archives/2012/april/april2_stressdisease.html
Cohen S, Janicki-Deverts D, Doyle WJ, et al. Chronic stress, glucocorticoid receptor resistance, inflammation, and disease risk. Proc Natl Acad Sci U S A. 2012;109(16):5995–5999. doi:10.1073/pnas.1118355109
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22474371/
https://www.pnas.org/content/109/16/5995