誰でも身に覚えのある、いびき。女性でもいびきの自覚のある人は少なくないのでは? いびきは「恥ずかしい」「家族に申し訳ない」というだけのものではなく、「重症化すると病気の原因になる想像以上に厄介なもの」だと睡眠専門医の白濱龍太郎先生は話します。著書『睡眠専門医が考案した いびきを自分で治す方法』から、いびきと全身の疾患についてみていきましょう。
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いびきは睡眠時無呼吸症候群の兆候
いびきは鼻やのどなどの気道が狭くなったところを呼吸時に空気が無理やり通り抜けようとする際に音がなる物理的な現象です。主な原因は身体的なもので、骨格や体型が大きく影響してきます。
一方、睡眠時に一時的に呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群は、軽度な人を含めると日本人の5人に1人が患っているとされ、日中の眠気や高血圧、動脈硬化、糖尿病などを招く恐れのあるものです。
「いびきはこの睡眠時無呼吸症候群の兆候であり、重症化すると、死の危険にさらされる可能性もゼロではありません」と白濱先生。
またそれ以外にも意外なところで悪影響が出てきてしまうこともあります。
いびきはメンタルの不調の引き金に
睡眠時無呼吸症候群の研究から、うつ病などメンタルの不調との関連があることがわかってきました。
「いびきを放置した結果、睡眠時無呼吸症候群になると、脳が満足に休息をとれなくなり、脳機能の低下につながります。熟睡できなかったことから生じる倦怠感、脳機能が低下したことによってもたらされる精神バランスの乱れ、これらが無気力やマイナス思考を発生させる源となり、悪化するとうつ病につながってしまうのです」
睡眠時無呼吸症候群は不妊の原因にも
睡眠時無呼吸症候群を患う女性が抱えるリスクには不妊もあります。
「まったく子どもがつくれないというのではなく、できにくい体質になりやすくなってしまうということ。また、睡眠時に母体の酸素濃度が低下すると、着床障害を引き起こすことが明らかとなっています」
さらには、妊娠高血圧、妊娠糖尿病などさまざまな病気の発症リスクを高めるといいます。
まずはいびきをかいていないか、アプリなどでチェックしてみてもいいかもしれませんね。もし、いびきをかいていたら、放っておかず、いびきを治すようにしていきましょう。
文/庄司真紀
参考書籍
『睡眠専門医が考案した いびきを自分で治す方法』(アスコム)