自律神経に影響を及ぼし、腸や脳とも深い関係のある呼吸。ゆったり呼吸することがひいては免疫力にもかかわってきます。しかし、「長期間にわたって浅い呼吸に慣れてしまっている人のなかには、肺が膨らまずに深い呼吸がしにくくなっている人がいます」と順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生。今回は、小林先生の新著『自律神経を整える「長生き呼吸法」』から、猫背を改善し、横隔膜をほぐす“長生き呼吸ストレッチ”をご紹介していきます。
Contents 目次
深く呼吸するためのストレッチ
長生き呼吸ストレッチ1
猫背を改善して胸郭を広げる
猫背を解消して、肺を大きく膨らませられるようになります。このストレッチには、肩こり解消の効果もあります。
〈椅子に座って行う〉
◎頭のうしろで手を組む
◎両肩の肩甲骨を近づけるように腕をうしろに開く
◎体を反らせる
◎10回行う
〈壁を使って行う〉
◎片腕を曲げて壁に手をつく
◎壁を押しながら、上体をひねる
◎左右1回ずつで1セット、計10セット行う
長生き呼吸ストレッチ2
ろっ骨を伸ばして呼吸しやすくする
わき腹をのばすと、横隔膜がついているろっ骨の間を広げられます。ろっ骨と骨盤をつなぐ腰の筋肉もほぐれ、胸郭が開きやすくなります。
〈ひざ立ちで行う〉
◎両腕を頭の上で組む
◎ひざが浮かないように、上体を横に倒す
◎左右1回ずつで1セット、計10セット行う
〈寝たまま行う〉
◎両手足を伸ばす
◎上下に引っ張られるように伸ばす
◎5秒伸ばす
◎5回行う
「私たちが呼吸するとき、肺は自分の力で収縮しているのではありません。呼吸筋と呼ばれるろっ骨についた筋肉などが柔軟に動くことで肺が収縮し、私たちは呼吸ができているのです」と小林先生。
長期間、「浅い呼吸」をしてきた人は、呼吸筋がガチガチにかたまっている恐れも。呼吸筋を動かしやすいようにして、呼吸を十分にするのがこのストレッチ。呼吸筋がほぐれ、だれでも深い呼吸ができるようになります。
自律神経の研究を20年以上にもわたって続けてきた小林先生が、あらためて思うのは「呼吸」の大切さ。自律神経を整えるためにさまざまな方法がありますが、ゆったりとした呼吸はそのベースになるもの。「何をするにも、しっかりとした深い呼吸をしてから向かい合うと、必ず状況はいい方に向かっていきます」と話します。
ただ深い呼吸をするだけ。このようなときだからこそ、毎日寝る前や仕事の合間に胸を開いて呼吸を深めてみてください。
文/庄司真紀
参考書籍
『自律神経を整える「長生き呼吸法」』(アスコム)