妊娠中もアクティブに過ごしたい。妊娠している、または考えているならば、そう思う人も多いのではないでしょうか。適度な運動は、ストレス解消はもちろんのこと、体重コントロールや出産に必要な体力の維持にもつながります。このたび、流産経験があると運動のやり過ぎに注意したほうがよいと、海外の研究から示されています。参考にするとよさそうです。
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妊娠女性785人を4年間追跡調査
妊娠中の体重増加は、健康への悪影響が大きいと知られています。ですから適度な運動は大切。もっとも妊娠中の運動で母子の健康に悪い影響が出てしまえば本末転倒です。早産や流産を繰り返した経験があるときには、運動を控えるのがよいとされます。
このたび米国マサチューセッツ大学の研究グループは、これまでに流産経験が1~2回ある女性785人(18~40歳)の妊娠経過を2007~2011年までの4年間追跡調査。その間に運動量と流産の関連性を調べました。対象者は自宅での妊娠検査薬およびクリニックでの妊娠反応検査で陽性と診断された女性で、身体活動量は運動時間と活動強度からスコアを計算しています。
妊娠初期の激しい運動は控えたほうがよさそう
調査してわかったのは、流産経験をしている女性はとりわけ妊娠初期の運動を控えたほうがよさそうだということ。調査の対象となった785人のうち、188人(23.9%)が流産を経験したのですが、そのうち55人が、尿や血液を用いた妊娠反応は出たものの、超音波検査で妊娠が確認できる前、つまり非常に早い時期に流産してしまった状態となっていました。身体活動量が多い妊婦さんは、身体活動量が少ない妊婦さんに比べて、このごく早期の流産リスクが約2倍も高まっていることが示されたのです。
「これまで得られていた結果と同様、妊娠しにくい女性の場合には、着床時期に負荷の高い運動を行うと流産リスクが高まることが示された」と研究グループ。そのうえで、流産経験のある妊婦さんは、妊娠検査薬で陽性がでたような時期も含めた妊娠初期には、過度な運動は控えたほうがよいというアドバイスを出しています。
運動する健康意識の高さはよいですが、体には大きな負荷がかかっている面も軽視しないことが賢明でしょう。適度な運動はしたほうがいいといわれる妊婦さんでも、妊娠初期にはゆっくり穏やかに過ごしたほうがよさそうです。
<参考文献>
High-strain Exercise Linked to Very Early Pregnancy Loss
https://www.umass.edu/newsoffice/article/high-strain-exercise-linked-very-early
Russo LM, Whitcomb BW, Freeman JR, et al. Physical activity and incidence of subclinical and clinical pregnancy loss: a secondary analysis in the effects of aspirin in gestation and reproduction randomized trial. Fertil Steril. 2020;113(3):601-608.e1. doi:10.1016/j.fertnstert.2019.10.027
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32192592/
流産・切迫流産(日本産科婦人科学会)
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=4