不妊はごくありふれた問題。男性、女性いずれにも原因は潜んでいる可能性があります。それが何かは検査をしなければなかなか知ることはできません。そのためさまざまな検査が存在していますが、男性が原因となっている不妊を調べる新しい検査が登場するかもしれません。
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不妊の原因を調べる検査とは?
日本では不妊治療はごく当たり前になっているといっていいでしょう。夫婦全体で5.5組に1組が不妊治療を受けたことがあることが、調査からわかっています。不妊の原因は女性ばかりではありません。およそ半数は男性が原因となっているケースがあると考えられています。男女ともに何が原因であるかを調べて、対処することが不妊治療を成功させるためには重要です。
米国コーネル大学の研究グループは、男性に不妊の素因があるのかを調べるための新しい検査を開発し、このたび発表しました。「キャップスコア診断検査」という検査で、米国50州で使えるように承認されたそう。精子の受精能力の獲得を調べる検査です。文字通り、卵子と受精に至ることができるかを調べられるのです。従来の男性不は、男性の精子の数や動きから判断する方式が一般的ですが、今回の検査はそうではなく、精子を採取したうえで処理を加えてスコアを出す「キャプ・スコア」という方法を用いています。
受精の能力を適切に調べられる
その結果、この方法によって男性の不妊が予測できそうだということが判明しました。検査の点数が低い場合には、不妊となる可能性が高かったのです。興味深いのは、検査から不妊になると考えられる人も、従来、不妊の判断で参考にされてきた精子の量や動きには異常がないことがあるともわかりました。
こうした男性不妊を知る検査は不妊検査の新しい方法として医療現場に出てくる可能性もありそうです。男性か女性かどちらに原因があるかがわかれば、早期に治療方針が決められますから、治療にスムーズに入ることができます。有望な検査として広がるかもしれません。
<参考文献>
New test offers clarity for couples struggling to conceive
https://news.cornell.edu/stories/2020/07/new-test-offers-clarity-couples-struggling-conceive
Sharara F, Seaman E, Morris R, et al. Multicentric, prospective observational data show sperm capacitation predicts male fertility, and cohort comparison reveals a high prevalence of impaired capacitation in men questioning their fertility. Reprod Biomed Online. 2020;41(1):69-79. doi:10.1016/j.rbmo.2020.03.011
https://www.rbmojournal.com/article/S1472-6483(20)30162-0/pdf
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32505543/