残暑が厳しい日が続いていますが、みなさん、夏バテしていませんか? 夏バテすると食欲がなくなったり、疲労感がとれなかったり、不眠になったりして、体調を崩しがちに。
夏バテを予防するためには、バランスのよい食事をとることもひとつの方法と言われていますが、今回はそんな“夏の体づくり”と大腸に着目した食事がテーマのオンラインランチ会「みんなと食べる!大腸活テーブル」に参加してきました。
ゲストに、青学大・陸上競技部長距離ブロックの原晋監督やフィジカルトレーナー・青学駅伝チームトレーナーの中野ジェームズ修一さんらを迎え、青学大の強さの秘訣などここでしか聞けない話も! そんな貴重なイベントのもようを一部ご紹介します。
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大腸をより意識してケアする“大腸活”を通じて、日本人の健康長寿への貢献を目指す団体「大腸活コンソーシアム」。武田コンシューマーヘルスケア、帝人、東亜薬品、森永乳業の4社からなり、食品や医薬品などの業界の垣根を越えて連携し、“大腸活”の普及活動を行っています。
今回のイベントはその普及活動の一環で、ビフィズス菌や酪酸菌などの善玉菌とそのエサを補う大腸によいとされるメニューによってケアする“大腸活”に加え、人と一緒に食事をする“共食”も推奨。“共食”は、食事の満足度が高まったり、普段ひとりでは食べない食材をとるきっかけになったり、自分の健康意識を考える機会になったりと、いろいろなメリットがあるそうです。
実際に、青学大の陸上競技部長距離ブロック所属の生徒たちが生活する町田寮では、3密を避けつつ、みんなで一緒に食事をしているそうです。
そのみんなで一緒に食事をするというスタイルについて、寮母の原美穂さんは、「最初はみんな好きな時間に好きなものをとっていましたが、食事を片づける際にそれぞれ残りものがあったり、栄養が偏っていたりすることに気がつきました」と言います。
「アスリートはまんべんなく栄養をとるべきだと考え、一緒に食事をとることをすすめたのです。ほかの生徒たちと会話をしながら食べることで、同じ食事でもおいしく感じたり、ゆっくり食べて咀嚼(そしゃく)回数が増えることで唾液が分泌されると栄養素の分解にいいという話もあって、みんなで食べるようになりました」(寮母・原美穂さん)
本イベントに参加した同大学の長距離ブロック主将で、今年1月に行われた箱根駅伝で9区区間賞を獲得した神林勇太さんは、走る速さに反比例して食事はゆっくりで、最後まで食堂にいることが多いそう。
「食べることより話すことを優先してしまうくらい、みんなと楽しく食事をしています。時には1時間かけて食べることもありますし、こういった環境下だからこそ、食事を楽しみながらの体づくりを心がけています。また寮に入ってからは一度も体調を崩したことがなく、これも町田寮のおかげです」(神林さん)
食事のアドバイスも行う中野ジェームズ修一さんは、
「ひとりで食べるとどうしても早食いになってしまうので、咀嚼の回数が減り、唾液の分泌量も減り、消化吸収も悪くなります。一方、みんなで会話しながらとることで、咀嚼回数が増え、唾液分泌量も増えるため、消化吸収も高まると言われています。
特にランナーは、練習量が多いぶん、消費カロリーが非常に高いので、食べなきゃいけないけど食はそこまで太くないので体重管理が難しい。強制的に食べるのではなく、与えられた食事のなかで楽しく食べる環境がついてくると、自ずと食の量も増えてきます」
と、理論をふまえながら具体的に説明。
それでは、気になる食事の内容を紹介していきたいと思います。
① この日の原監督、美穂さん、神林選手のランチメニュー
手前から、肉炒め、卵焼き、キャベツの千切り、副菜(2種)、白米、玉ねぎ・ワカメ・麩・シソの葉入りのみそ汁。
「いろんな品目をとり入れたくて、本当はトマトを入れたかったのですが…神林くんがトマト嫌いで、今回はやめておきました(笑)」(美穂さん)
②とある日の合宿所でのメニュー
長野へ遠征に行ったとき、合宿所の若夫婦に作ってもらったもの。
「お肉とお魚、デザートまで、色とりどりのメニューでした。長距離選手は甘いものは食べないのでは? とよく言われますが、そこまで管理・監督せずに食事を楽しみ、バランスよく栄養をとるようにしています。1食ですべての栄養をとるのではなく、1日、1週間、1か月と長いスパンで考え、嫌いなものもガマンして食べて、幅広く栄養をとることが長距離選手として大切だと考えています」(原監督)
③中野さんのランチメニュー
イワシのパスタ、トマト、ヨーグルト、桃。
「まず、品目をできるだけ多くすることを心がけています。今回はイワシのパスタですが、青魚を使っているので、DHA・EPA がとれますし、疲労回復にもつながり、アスリートにぴったりです。トマトなどの色の濃い野菜はビタミンが多く含まれているので、暑い夏には重要な栄養素だと思います。私は1日14品目とることを意識しており、このメニューだけで6品目の摂取が可能。パスタの量が少なくても、品数を多くすることで1日にとりたい品目の半分が昼食でとれることになります」(中野さん)
品数を増やしすぎると、かえってカロリーオーバーになってしまうため、14品目程度がいいそうです。
また、夏のトレーニングで特に注意していることについて原監督は、「いちばん危険なのは、脱水症状からくる熱中症です。その防止策として、朝起きてコップ1杯の水を飲ませることと、おみそ汁を含めた水分をしっかりとらせることを心がけています」。
中野トレーナーも、「ご飯をしっかり食べることは、脱水症状の予防にもつながります。糖質を1g体に入れると水が3g吸着されるので、ちゃんと糖質をとっていないと体に保水できないということになります。また、夏は発汗することでミネラル(鉄分)が出ていきやすく、貧血を起こしやすいと言われています。夏をがんばって乗り越えてもしっかり食事をとっていないと、秋ごろから貧血の症状が出始めてしまうので、糖質だけではなくミネラルも意識的に摂取することが重要です」とコメント。
イベント中に、中野さんより「ここ数年で、腸とパフォーマンスの関係性についての研究がされるようになってきました」というとても興味深い話を聞き、イベント終了後に腸内環境とパフォーマンスの関係性について追加でお話を伺いました。
「腸内環境ということをどのようにとらえるかが難しいですが、今の段階で私が現場で感じることも含めてお伝えすると、いろいろな選手をみていると、この選手は内臓が弱いなぁとか、強いなぁということはいつも感じています。強度の高い練習やウエイトトレーニングのあとには、ほとんど食べられない選手もいれば、モリモリ食べられる選手もいます。また、長時間動き続けるマラソン競技の選手のなかには、朝食の内容によって途中で吐いてしまう選手もいます。
そのような光景をみていると、内臓が弱かった選手が、数年で強くなっていくというような変化はあまりみられず、そうなると先天的なものであって、後天的に変えることは難しいと思っていました。
しかし、最近は、食事内容を気をつけるようにすることで、徐々に変わってきている選手もいるのです。何がどのように作用したのかまでは明確に断言することはできませんが、後天的にも変容することはあると最近は感じています。
あとは排便でしょう。常に軟便になっていることでトイレの回数が多い選手もいれば、便が残っている状態で長時間の上下運動をくり返すことによっての腹痛を訴える選手もいます。食物繊維の量を意識させることや朝起きる時間、食事内容、発酵食品などを意識させることで改善する場合もあります。
これらのことで、何の身体的要素が向上したのかを直接的に関連させることは難しいと思いますが、これらがあきらかに腸内環境を整え、練習の質が上がり、最終的にはパフォーマンスにも影響していることは言えると思います」(中野さん)
“大腸活”が最終的にパフォーマンスにも影響を与えている可能性があるとは、フィットネスに勤しむ人にとってはまさに耳寄りな話。さらに“共食”もとり入れれば、よりいろいろなメリットにあやかれる可能性も。青学大の陸上競技部が、栄養バランスのとれた食事とみんなで食べる“共食”をしっかり実践しているということで、とても説得力がありますし、これから私自身もそのあたりを意識して過ごしていきたいと思います。
夏バテが忍び寄ってくる今こそ、すでに実践している人もまだ実践していない人も、大腸活をより意識して取り入れてみてはいかがでしょうか?
(編集 けーこ)
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