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子ども時代のインフルエンザ感染が、大人になってからの感染状況に影響? 海外の研究によると…
冬になると心配されるインフルエンザの流行。今年は新型コロナウイルス感染症の発生もあり、同時に複数の感染症に気をつける必要があります。手洗いやうがい、マスク、人との距離をとることなど対策が欠かせません。このたびインフルエンザのかかりやすさが、子どものころのインフルエンザ感染と関係するとの研究結果が。秘密は免疫です。
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過去のインフルエンザ感染で身を守る?
新型コロナウイルス感染症の問題が大きくなっていますが、インフルエンザの流行も無視できません。国内でのインフルエンザ感染者数は例年1500万~2000万人に上ります。前冬は新型コロナウイルス感染症の対策の影響もあり、大幅に患者数が減りましたが、今冬の流行が懸念されます。これは日本の状況ですが、米国でも問題になるのは同じ。年間約10万~60万人が入院し、5000~2万7000人が亡くなっているとされます。
インフルエンザにはA型、B型、C型の3種類があります。人で流行するのは、主にA型(H1N1)、A型(H3N2)、B型。ワクチンはこうした型に合わせて接種されます。年によって効果が変わるのですが、子どものころの感染の有無も影響する可能性が考えられていました。
こうしたなか、インフルエンザのかかりやすさについての研究が行われました。米国シカゴ大学などの研究グループが、子どものころのインフルエンザにかかった経験がその後のインフルエンザのかかりやすさやワクチンの効果に影響するのかを検証。過去のデータから、子どもの感染が成人の感染にどのように影響するかを確かめたのです。
将来の感染を知るヒントに
研究で判明したのは、インフルエンザに初めて感染したときに、生涯にわたって同じタイプのインフルエンザへの感染リスクを下げる効果をもたらしてくれるということでした。インフルエンザのタイプにより異なり、H3N2と比べるとH1N1のタイプのほうがこうした防御力が強く出ることもわかりました。
さらに、ワクチンの効果も増強するような影響があることが判明。年齢や生まれた年により、インフルエンザの感染の状況も変わることから、ワクチンの効果が年齢や生まれた年によって変わっていました。インフルエンザの流行状況などから、ワクチンの効果を予測することもできると見られたのです。日本でもインフルエンザの流行状況を考えることで、将来にわたって感染の恐れがあるかなどの判断に生かせるのかもしれません。
<参考文献>
Arevalo P, McLean HQ, Belongia EA, Cobey S. Earliest infections predict the age distribution of seasonal influenza A cases. Elife. 2020 Jul 7;9:e50060. doi: 10.7554/eLife.50060. PMID: 32633233; PMCID: PMC7367686.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32633233/
https://elifesciences.org/articles/50060
Flu in early life determines our susceptibility to future infections
https://elifesciences.org/for-the-press/7ce1d193/flu-in-early-life-determines-our-susceptibility-to-future-infections