ヨガも瞑想も、ストレス解消やリラックス効果が注目されて、スマートフォンのアプリにまで広がっています。そんなヨガに瞑想を組み合わせて取り組むと、治りにくい慢性的な体の痛みを軽くするという報告がありました。体をよく動かせるようになり、気分を改善させるばかりにとどまらない、神経の症状にも効果は及ぶようです。
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8週間のヨガと瞑想、効果を調べたところ…
日本でも男女ともに多くの人が悩んでいる症状として、肩こりや腰痛などの体の痛みがあることが調査からわかっています。原因がわかっていてもいなくても、なかなか消えない慢性的な痛みに悩まされている人は意外に多いようです。米国でもそうした痛みに悩む人がおよそ1億人と推定されています。痛みのせいでいろいろなことができなくなり、うつ症状が現れることも。それらは大きな問題になります。慢性痛の場合、ある程度の痛みとつき合って暮らさなければなりませんが、この痛みの管理という点で期待されている方法のひとつがヨガです。
このたび米国オレゴン州の医療機関の研究者らから成る研究グループは、マインドフルネス瞑想とハタヨガを組み合わせたトレーニングプログラムの痛みへの効果を検証しました。1年以上慢性痛がある28人を対象に、8週間の「マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)」の効果を確かめたのです。トレーニングの前後で、痛み、うつ症状、体を動かせない程度を判定するテストを行っています。
全般的な痛みへの効果を確認
ここから見えてきたのが、ヨガの取り組みによって、痛みやうつ症状に加えて、体の機能がすべてにおいて改善したことです。
具体的には、痛みの程度は平均して4.6ポイント低下(最も強い痛みを52ポイントとする尺度)するという結果になりました。さらに、うつ症状は3.7ポイント低下(最高27ポイント)、体を動かせない程度は平均9.4%低下(まったく動かせない状態が100%で、数字が低いほどよい)していました。
この結果から、研究グループはヨガと瞑想を組み合わせたマインドフル・ストレス低減法は慢性痛に有効と結論を出しています。また、痛みや体の機能だけでなく、メンタル面の効果も期待できるというのも重要と指摘。ほかの治療法や薬を一緒に使うこともできるなかで、慢性痛を和らげる新たな方法として有望と説明しています。痛みに悩む人は、取り組んでみるとよいかもしれません。
<参考文献>
Study Finds Yoga and Meditation Reduce Chronic Pain
https://osteopathic.org/2020/10/01/study-finds-yoga-and-meditation-reduce-chronic-pain/
Marske C, Shah S, Chavira A, Hedberg C, Fullmer R, Clark CJ, Pipitone O, Kaiser P. Mindfulness-Based Stress Reduction in the Management of Chronic Pain and Its Comorbid Depression. J Am Osteopath Assoc. 2020 Sep 1;120(9):575-581. doi: 10.7556/jaoa.2020.096. PMID: 32854117.
https://jaoa.org/article.aspx?articleid=2765229
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32854117/