女性にとって、生理や更年期による不調は、日々つき合わなくてはならないもの。とくに今年はコロナ禍でさまざまなストレスがたまり、いつも以上の不調に悩まされている人も多いはずです。そこで今回は、女性に出やすい不調を解消し、気分を晴れやかにしてくれるおすすめの食品について、内科医の工藤孝文先生に教えていただきます。
Contents 目次
女性の不調はホルモンバランスの乱れが原因
女性に体の不調が起きやすいのは、生理や更年期の影響でホルモンバランスが乱れやすいことが関係しています。逆に生理や更年期がない男性は、ホルモンバランスが安定しているので、体の不調が出にくいのです。
『病は気から』という言葉が表すように、東洋医学の考え方では、精神的なストレスも体の不調や病気につながるとされています。今年のコロナ禍の影響を受けて、女性はいつも以上にストレスにさらされて、体に不調が起きやすくなっているはずです。
ストレスによって脳疲労を起こしていると、脳と密接にかかわっているホルモンバランスが乱れてしまいます。それによって自律神経の不調を起こしやすくなり、ますます体の不調が起き、気持ちも不安定になりやすくなります。
この負のスパイラルのような状態を抜け出し、女性が心も体も元気になれる食材として、おすすめなのが「だし」なのです。
自律神経を整える「だし」が女性をハッピーにする!
そもそも、生理前後のイライラや、更年期症状が起きるのは、すべて自律神経の乱れが原因です。そんな自律神経を整えるのにぴったりなのが、かつお節や昆布、煮干しなどから作られた「だし」なのです。
イライラを感じるときは、幸せホルモンといわれるセロトニンやオキシトシン、ドーパミンが不足した状態です。「だし」のうま味成分には、これらの幸せホルモンに似た働きをする成分も豊富に含まれています。
「じつは、お母さんのおなかの羊水や母乳には、うま味成分であるグルタミン酸がたっぷり含まれていて、私たちは赤ちゃんのときから、うま味成分をたくさん飲んで育っているのですよ」(工藤先生)
食べ物の味は『五味』といって、甘味、苦味、塩味、酸味、うま味の5つの種類がありますが、赤ちゃんにこの五味を与えると、うま味成分を与えたときだけ、にっこりと笑顔になるという研究があります。つまり、うま味は生まれたときから知っている、幸せの味ということ!
赤ちゃんのときから慣れ親しんだうま味成分たっぷりの「だし」を飲むと、脳が幸せを感じてハッピーな状態になります。それが自律神経を整え、ホルモンバランスを安定させてくれます。
しかも、イライラや不安な気持ちが消えるだけでなく、ストレスによる過食がおさえられるので、自然とダイエットにもつながり、いいことずくめです。
毎日のおみそ汁や鍋を作るときには、「だし」をたっぷりと使いましょう!
工藤先生考案!「だし」のレシピ
「だし」を使ったお料理もいいのですが、『1日に1杯、だしを飲む』というやり方も簡単でおすすめです。
「私が考案した「だしレシピ」には、緑茶が入っていることもポイント! 緑茶に含まれるテアニンといううま味成分は、脳をリラックスさせてくれるのでストレス解消になります。疲労回復や脂肪燃焼効果も高く、女性にぴったりの成分です」(工藤先生)
【材料(約10杯分)】
・かつお節:30g
・煮干し(頭と内臓をとり除かずそのまま使用):10g
・刻み昆布(塩分不使用):10g
・緑茶(緑茶の茶葉なら何でも可):5g
【作り方】
<1>かつお節と煮干しをフライパンで炒める
<2>刻み昆布と茶葉、<1>をミキサーにかける
<3>パウダー状になったら完成
※作っただしの粉は冷暗所で保存し、2週間以内に使いきりましょう。
【だしの飲み方】
<1>コップに大さじ1杯の「だし」を入れる
<2>お湯を150~200mL注ぐ
お湯を注いで1分間ほど待つと、刻み昆布がやわらかくなるので、さらにおいしくなります。また、飲み終わったあとコップの底にたまっただしの粉も食べられます。
これを1日1杯飲むだけで気分も晴れやかに、体も元気に過ごすことができるはずです。今日からでも気軽に始められるので、ぜひ試してみてはいかがでしょう?
取材・文/ 牧内夕子