みんながマスクを着用する風景が当たり前になってきました。マスクは飛沫の拡散を防ぐ効果があると科学的にも証明されるように、日本以外の国でも多くの人がつけ始めています。そんなマスクの消毒によさそうだと考えられているのが日光に当てること。海外では新型マスクの研究まで進んでいるようです。
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日光の効果とは?
今やマスクは多種多様。いろいろな機能をもつタイプが出回っていますし、除菌グッズと併用している人も多いでしょう。使い捨てだけではなく、洗って何度も使えるタイプも多く販売されています。
そんなマスクの表面にウイルスがついてしまわないよう、海外で注目されるのが紫外線を使った消毒法です。実際、医療現場では、マスクなどを紫外線で消毒する研究が進んでいます。紫外線はウイルスを不活性化する効果があるとされ、日常的にもマスクを天日干しするのは、消毒のために有効と考えられています。
今回カリフォルニア大学の研究グループは、さらなるウイルスを消毒する機能を高めたマスクの開発に乗り出していることを報告しています。食品にも使われている赤い色素「ローズベンガル」と呼ばれる光増感剤をコットンに吸着させることに成功。光を当てると活性酸素を放出しマスク用に殺菌力をもつ新しいコットン素材を開発し、その効果を調べました。
強力なウイルスも死滅
こうして確かめられたのは、この新しいコットンを使うと、高い消毒力を発揮することです。色素を吸着させたコットンの表面に細菌をつけて日光に当てると、99.9999%が1時間以内に死滅。一部のコロナウイルスよりも活性酸素に抵抗力があると考えられているT7というウイルスも、わずか30分で99.9999%を不活性化させることを確認。コットンは少なくとも10回手洗いでき、7日間連続して日光に当てても効力を保っていました。
活性酸素というと一般的には老化の大きな原因として悪者扱いされがちですが、強い殺菌力の味方にもなるわけです。研究グループによると、新しいコットンは再利用可能で抗菌および抗ウイルスのマスクへの利用が期待できるといいます。ランチタイムなど屋外でマスクを太陽に当てたり、室内光でも長めに当てたりすることで、殺菌できる可能性があるようです。
日本でもこうした消毒力を高めた製品が登場すると人気が出てくるかもしれません。マスクの進化はしばらく続きそうです。
<参考文献>
Cloth face masks that can be disinfected by the sun
https://www.acs.org/content/acs/en/pressroom/presspacs/2020/acs-presspac-november-11-2020/cloth-face-masks-that-can-be-disinfected-by-the-sun.html
Tang P, Zhang Z, El-Moghazy AY, Wisuthiphaet N, Nitin N, Sun G. Daylight-Induced Antibacterial and Antiviral Cotton Cloth for Offensive Personal Protection. ACS Appl Mater Interfaces. 2020 Nov 4;12(44):49442-49451. doi: 10.1021/acsami.0c15540. Epub 2020 Oct 22. PMID: 33090782.
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.0c15540
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33090782/