新型コロナウイルス感染症の影響で、運動しているときもマスクが欠かせなくなってきました。運動のときにマスクをしていると、呼吸しづらく不快に感じるもの。海外では、マスクをしたまま運動したときに健康を害さないかという検証も行われています。心肺機能への影響を調べたのですが、結果として影響はなさそうという結論に至りました。
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マスクしたまま運動しても大丈夫?
新型コロナウイルス感染症の蔓延を防ぐために、日本はもとより、世界的にマスクをつけた生活が推奨されるようになりました。マスク生活については、抵抗を感じる人もおり、運動するときにマスクをするとなればなおさら。肺での酸素のとり入れと、二酸化炭素を対外に出す際に変化をもたらし、心肺機能に悪影響があるのではないかとの見方も出ているようです。
米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究グループは、マスクをしたままで運動したときの心肺機能の影響について過去の研究から検討しました。一般的なマスクのほか、細かい粉塵をシャットアウトするN95のマスクなどについても調べています。
運動による影響はなさそう
こうして判明したのは、マスクをしたまま運動をしても、身体的な有害性はなさそうだということです。マスクによって、呼吸がしづらくなって、酸素のとり入れなどに影響が出そうですが、心肺機能を調べたところ、血液中にとり込まれた酸素のほか、生理的な検査値への影響は小さく、激しい運動をしたとしても影響はほとんどないという結果になっていました。
研究グループは、基本的に運動中にマスクをすることの影響は無視できる程度で、運動への影響もなさそうだと結論づけています。ただし、重い心臓や肺の病気を患っている人では、わずかな変化が呼吸困難につながる可能性があると指摘。状況しだいでは注意を求めています。今回の報告からは、健康に問題がない場合ならば、マスクをしたまま運動してもよさそうといえます。
<参考文献>
Exercised Over Nothing: Masks Don’t Impair Lung Function During Physical Activity
https://ucsdnews.ucsd.edu/pressrelease/exercised-over-nothing-masks-dont-impair-lung-function-during-physical-activity
Hopkins SR, Dominelli PB, Davis CK, Guenette JA, Luks AM, Molgat-Seon Y, Sá RC, Sheel AW, Swenson ER, Stickland MK. Facemasks and the Cardiorespiratory Response to Physical Activity in Health and Disease. Ann Am Thorac Soc. 2020 Nov 16. doi: 10.1513/AnnalsATS.202008-990CME. Epub ahead of print. PMID: 33196294.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33196294/