在宅ワークが増えて「なかなか疲れがとれない」と感じていませんか? 心のモヤモヤやイライラ、体の疲れをためこんでしまうと、深刻な病気の原因にもなりかねません。今回は、さまざまな体の不調を自分でチェックするために、家の中でもできるプチ瞑想の方法について、内科医の工藤孝文先生に教えていただきます。疲れは早めのケアが肝心なので、自分の体をチェックしてみてください!
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在宅疲れの解消にプチ瞑想「ボディスキャン」が効く!
コロナ禍によって働き方は大きく変化しました。慣れない在宅ワークが続き、プライベートと仕事の境界線があいまいになってしまうことに、ストレスを感じる人も多いかもしれません。
また、在宅ワークが長時間になると、特定の部分に負荷がかかりやすくなり、肩こりや腰痛がひどくなったり、眼精疲労がツラくなったりしてしまいます。
忙しい人ほど、そうした疲労の症状に気づかず放置してしまうことも。体の健康を損なう前に、プチ瞑想「ボディスキャン」をとり入れましょう!
「ボディスキャンは、ストレスや心身の疲労を解消する方法のひとつです。自分の体に意識を集中させ、知らず知らずのうちに蓄積してしまっている体の疲れをチェックしていくのです。自分にしっかりと向き合うことで、体や心からのメッセージを受けとり、緊張をほぐすことができますよ」(工藤先生)
在宅ワーク中なら、空き時間にいつでもボディスキャンをすることができます。疲れをためこまないように、自分の不調をチェックして、早めにケアをしてあげましょう。
今すぐ始められる!「ボディスキャン」の方法
ここでは、ボディスキャンの方法をご紹介しますので、流れに沿って行ってみましょう! ボディスキャンを行う場所は、感覚に集中するために、寝室など静かなところが理想的です。
【ボディスキャンのやり方】
①足を肩幅に開いて、リラックスして立つ。またはイスに座る。
②背すじをよく伸ばして心地よく呼吸し、軽く目を閉じる。
③頭頂から太陽の光や懐中電灯の光が入ってくるのをイメージする。
④まずは頭頂をスキャンして、皮ふや髪の感覚を意識する。
⑤重く不快な感覚を覚えたら、過緊張がある証拠。呼吸とともに吐き出すイメージで。
⑥同様に、両目、鼻、口周りと、それぞれの感覚を意識しながらスキャンしていく。
⑦さらに首、両肩、胸、背中、お尻、脚と全身を順にスキャンして不調を探る。
体の中で、違和感があったり重さを感じたりする部分があったら、そこは自分が疲れやすい部分ということです。意識的にケアして疲れをとってあげましょう。
「朝起きてすぐにボディスキャンをすると、いい状態で1日のスタートをきれます。デスクワーク中でも、休憩のたびにボディスキャンをして、こまめに体の不調をとり除いていくといいでしょう。
外出したときは、帰宅したあとにすぐ行いましょう。不調の部分をチェックしたら、入浴中などに、集中的にそこをマッサージしてケアするのがおすすめです。『その日の疲れは、その日のうちにケア』を心がけましょう」(工藤先生)
不調の部分がわかったらマッサージやツボ押しでケア
気になる不調を見つけたら早めにケアをしましょう。在宅ワークでツラい症状が出やすい部分について、すぐに実践できる疲れ解消方法をご紹介します。
【疲れ目解消のマッサージ】
現代人の生活では、在宅ワーク中はもちろん、日常的にパソコンやスマホの画面を長時間見ることが多く、慢性的に眼精疲労を抱えています。目の疲れを感じたら、目のマッサージを行いましょう。
【マッサージのやり方】
①目を閉じて、まぶたの上から指の腹でやさしく押します。
②眼球を上下左右に動かします。
目の疲れが取れると脳への負担も軽くなります。デスクワーク中は、1時間に1回程度行うと、集中力の継続にも効果あり!
【頭痛や肩こり解消のツボ押し】
頭痛や肩こり、体全体の調子を整えるツボである「合谷(ごうこく)」を押しましょう。自律神経を整える効果もあります。
●ツボの場所
手の甲にある親指と人さし指の骨が交差するところの、人さし指側にあります。
●ツボの押し方
反対の手の親指で、少し痛みを感じるくらい強めに押します。両手それぞれ30回ずつ行いましょう。
【食べすぎを抑えてくれるツボ押し】
在宅時間が増えると食べすぎになり、コロナ太りをしてしまった、という人も多いはずです。「飢点(きてん)」というツボは、食欲を抑えてくれるツボです。食事前にしっかりと押しておきましょう。
●ツボの場所
耳の前の小さなふくらみのやや下にあります。
●ツボの押し方
食事の15分くらい前に、人さし指を左右の飢点に当てて、1~2分くらい押します。
【ストレスには美姿勢&腹式呼吸が◎】
人は姿勢をよくすると、前かがみなどの悪い姿勢のときよりも、ストレスや痛みに耐えやすくなる、ということがアメリカの研究でわかっています。
美姿勢とは「顔を上向きにして胸を張っている状態」のこと。ストレスを感じるときは、美姿勢を心がけてみましょう!
美姿勢を支えるためには、背中や腰、お尻などの抗重力筋が活躍します。そのときに幸せホルモンであるセロトニンが、脳内にたくさん分泌されるので、ストレスを感じにくくなるのです。
さらにセロトニンの分泌を増やすには、美姿勢とあわせて、ゆっくりと「腹式呼吸」を行いましょう。
腹式呼吸がわからない人は、おなかの下のほうが、呼吸によってふくらんだり縮んだりすることを意識すればOKです。
運動不足には「その場20秒スキップ」で血流アップ
在宅ワークでは、長時間椅子に座ったままでの作業が多くなります。また、外出する機会が減って、運動不足を実感しているのではないでしょうか?
立ったり歩いたりといった運動が少なくなると、全身の血流や代謝が停滞してしまい、血液がドロドロの状態になってしまいます。
そのままだと老化が進むばかりか、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞や糖尿病といった、怖い病気を引き起こす原因にもなってしまいます。
そこで、家の中でもできる「その場20秒スキップ」をやってみましょう! その場で20秒間スキップをするだけで、全身の血流が一気に促進されますよ。
家の中でもなるべく意識的に動くようにしたり、外出するときはエレベーターではなく階段を使ったりして、積極的に体や脚の筋肉を使うようにしましょう。
在宅ワーク中の「プチ瞑想」を習慣にして、不調は早めにチェックしておきましょう。また、マスクの中の表情は、にこやかでいられるように、口角をしっかり上げてくださいね! セロトニンの分泌を促し、顔の筋トレにもなるので一石二鳥です。
取材/文 牧内夕子