足から全身に働きかけることで健康的な毎日を生み出す「足ウェルネスⓇ」というライフスタイルを提唱している足裏研究家の鈴木きよみさん。足裏に表れる表情を読み解き不調の原因を見出す、先生の足相診断をレポートします。今回のモニターさんは「眠りが浅く長時間眠れない」という不眠症でお悩みです。足相診断から、体質と不眠の意外な関わりが見えてきます!
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不眠の原因が足相に出ていない…?! その理由とは
今回のモニターはコールセンターの仕事をしている60代前半のM.Sさんです。体調のお悩みは「不眠」だそうです。
M.Sさん:「平均睡眠時間が4時間半~5時間と短く、早めに就寝しても途中で目が覚めてしまいます。じょうずにリラックスすることができないためか、ふだんから休息の時間が足りないと感じています」
また、肩こりや、排便時のスッキリ感がないこともお悩みです。足相にはどのようなサインが出ているのでしょうか? きよみ先生にみてもらいましょう!
きよみ先生:「足の左右で温度差がありますね。体の疲れがとれにくかったり、疲れやすかったりするのでは、と思います。
足の形はとてもキレイですし、皮膚の状態もいいですね。ただし、肩の反射区にゴリゴリ感があるので、肩こりがツラそうです。何か心配ごとやストレスなどがあるのではないですか?」
M.Sさん:「ストレスは自覚していないですが、仕事や英会話の習いごとなどで忙しく、楽しいのだけれど勉強もしなくっちゃ、というプレッシャーを感じています」
きよみ先生:「足裏の周囲の色が赤紫っぽくなっているので、体の新陳代謝がしづらい状態のようです。
周囲の色に対して、腸の反射区がある土ふまずの部分は、色が抜けたように白くなっているので、大腸の蠕動運動が弱いようですね。また、胃の反射区(下の画像の丸囲みの部分)には、刻印のような深いシワがあります。
これらの足相から、M.Sさんは消化器の働きが弱いことがわかります。その結果、残便感があり、お腹がスッキリしないのかもしれませんね」
M.Sさん:「旅行などに行っても、最後のほうは疲れて胃が痛くなってしまいます。また、腸セラピーというものを受けたことがあり、そのときも腸がまったく動いていないと言われました」
きよみ先生:「いちばんのお悩みは不眠ですよね。不眠を表す足相は、中指の先の前洞頭(ぜんとうどう)の反射区がプニプニとやわらかくなります。M.Sさんはここがとてもやわらかい状態なので、確かに不眠だということがわかります。
不眠の原因は、ストレスや脳疲労によるものが多く、その場合は脳の反射区が集まっている親指がとてもかたくなります。ところが、M.Sさんの親指はかたくなっていないので、不眠の原因はほかにあるようですね」
●中指の先にある前頭洞の反射区
不眠を訴えているにもかかわらず、不眠の原因を示す足相が出ていない、という不思議な状況の中、きよみ先生は、M.Sさんの足相をくまなくチェックしていきます。そして、注目したのはM.Sさんの指先です。
きよみ先生:「M.Sさんの場合、腎機能の弱さが不眠につながっているのではないかと思います。人さし指から小指まで、それぞれの指を手で押して、ぱっと手を放すと、指の跳ね返りの力がチェックできるのですが、M.Sさんは指の跳ね返りの力が弱いのです。これはもともと腎機能が弱い体質だということを示します。デトックスする力が弱いので、水分を飲んだらきちんと飲んだ分を外に出すように気をつけないと、水分が体にたまりやすく、むくみやすくなります」
●指の跳ね返りの力をチェック
腎機能の弱さと不眠はどのようにつながるのでしょうか?
きよみ先生:「腎機能が弱いと、膀胱にたくさん尿をためられません。それで、早めに就寝しても、数時間たつと膀胱が刺激されてしまい、目が覚めてしまうのだと思います」
M.Sさん:「夜中に目が覚めたとき、トイレに行くこともあります。トイレに行かなかったときは朝起きたらすぐにトイレに行きたくなりますね」
きよみ先生:「寝る前に腰のやや上のほうにある腎臓の部位を、カイロなどで温めてあげるといいですよ。温泉につかった日など、体を温めたときによく眠れたという経験はありませんか?」
M.Sさん:「今は少しよくなっていますが、以前から下半身が本当に冷えやすくて…。温泉に入った日は確かによく眠れますね! これから寝るときはふわふわの腹巻などで温めてみます」
飛び上がるほど痛む「腎臓の反射区」が健康へのカギ
きよみ先生がツボ押し棒で、M.Sさんの足に最初にふれたのは、腎臓の反射区です。するとM.Sさんは「きゃっ!」と声を上げてイスから飛び上がってしまうほど、強い痛みを感じていました。
きよみ先生:「まださわっただけなのですが、これほど痛いのならば、明らかに腎機能の弱さが原因です。ほかの反射区は、同じ強さでさわっても痛くないですよね。M.Sさんの健康のカギは腎臓ですね! ここだけでもしっかり押してあげれば体調が変わってくるはずですよ」
片方の足だけ、ピンポイントで腎臓の反射区を刺激しただけですが、左右の足裏の色にこれだけの違いが表れました。
「たったこれだけで、こんなに血液が流れはじめるのですね!」
M.Sさんも血が通いはじめた足先をみて、驚いた様子でした。
腎機能をケアする足刺激テクニック
腎機能が弱く、冷えやすいM.Sさんに、おすすめの足刺激テクニックをご紹介します。
【腎臓~輸尿管~膀胱の反射区をプッシュ】
足裏の反射区の基本的な部位である腎臓・輸尿管・膀胱の反射区を流れで刺激します。オイルやクリームをつけ、ツボ押し棒を使うとしっかりと刺激することができます。
●腎臓・輸尿管・膀胱の反射区
この反射区を刺激することで、腎機能の働きがよくなると、老廃物を外へ排出するデトックス効果も高まります。足刺激の基本テクニックですので、毎日の習慣にしてみてくださいね!
これらの足刺激を行った前後の足裏を比べてみましょう。
足刺激前は足裏の周囲が赤紫色で、土ふまずが白っぽかったのですが、全体的に血色がよくなっているのがわかりますね! 腎臓・輸尿管・膀胱の反射区を刺激しただけで、こんなに血行がよくなるとは驚きです。
きよみ先生:「今日の夜はぐっすり眠れると思いますよ」
M.Sさん:「毎年受診している健康診断の数値からは、腎機能が弱いことはまったくわかりませんでした。体がどこか悪いんだろうな、とは思っていましたが、はっきりと原因がわからない状況は、私にとってとてもつらいことだったのです。そんなときに足相診断の記事を読んで応募してみたのですが、自分は生まれつきの体質で腎臓が弱いとわかって、びっくりすると同時に精神的にとてもラクになりました!」
足刺激を続けることで、M.Sさんの不眠のお悩みは、解消されるのでしょうか? 次回記事でレポートします。冷えやむくみでお悩みの人も、今回の足刺激テクニックを試してみてくださいね!
取材・文/牧内夕子 イラスト/湯沢知子