肌年齢や体内年齢など、実際の年齢よりも若かったり、逆に年をとっていたり、個人差が注目されることがあります。ミクロの目で見たときに、細胞や組織のダメージが蓄積する仕組みが徐々に明らかになり、生活習慣などで人によってエイジングには差があるとわかってきています。そんななか、食べものや睡眠、運動などのライフスタイルを8週間変えるだけで、体の老化レベル(生物学的な年齢)に3年以上もの差が出るという報告がありました。ちょっとした工夫が大切になるようです。
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「生物学的な年齢」に注目
年をとると、少しずつかもしれませんが、どうしても衰えを感じてしまいます。体力が落ちたり、精神的に疲れを感じやすくなったり、その感じ方は人それぞれかもしれません。一方で、専門的な検査をすることで「生物学的な年齢」を判定することも可能と考えられており、いろいろな方法があります。
今回、米国とカナダの研究グループがそんな生物学的な年齢に着目。年齢に伴うDNAの変化「DNAのメチル化」を測定する方法によって、ライフスタイルの改善効果を調べています。このDNAの変化は体の老化レベルを正確に示すと考えられていて、摂取する栄養素などの外的な要因を変えることで、このメチル化の状態を変えられることも、過去の研究からわかってきたのです。
そこで研究グループは、DNAのメチル化によい影響を与える、つまり老化を遅らせると考えられている栄養素やライフスタイルなどをとり入れた場合と何もしない場合で、生物学的な年齢に違いが生じるかどうかを比べました。
健康な成人男性43人を2グループに分け、一方のグループだけに健康に配慮した食事(レバー、卵、黄緑色野菜、アブラナ科の野菜などをとり、加糖や乳製品を避けるなど)、適切な睡眠(7時間以上)と運動(1日30分)、リラックスのための呼吸法、プロバイオティクスと植物栄養素のサプリメントなどを8週間続けてもらいました。そのうえでDNAメチル化の状態を解析して生物学的な年齢を判定したのです。
短期間の改善で変化
ここからわかったのが、食事やライフスタイルを変えたグループは、何もしなかったグループと比べて、生物学的年齢が3.23年若くなること。個人の生物学的年齢で見ると、食事やライフスタイルを変えたグループでは、研究終了時には開始時より平均1.96年若返っていました。対照的に、何もしなかったグループでは、統計的に確実な数値ではないものの、平均1.27年、年をとっていました。片方は若返り、もう片方は年をとるという違いが確認されたのです。
さらに大規模な研究を長期間にわたって行う必要がありそうなのですが、医薬品を用いず、食事とライフスタイルを短期間変えるだけという安全な方法で大きな効果があったことは重要と、研究グループは指摘しています。
<参考文献>
Three years younger in just eight weeks? A new study suggests yes!
https://www.aging-us.com/news_room/three-years-younger-in-just-eight-weeks-a-new-study-suggests-yes
Aging: Clinical Trial on Potential reversal of Epigenetic Age using a Diet and Lifestyle
https://www.aging-us.com/news_room/clinical-trial-on-potential-reversal-of-epigenetic-age-using-a-diet-and-lifestyle
Fitzgerald KN, Hodges R, Hanes D, Stack E, Cheishvili D, Szyf M, Henkel J, Twedt MW, Giannopoulou D, Herdell J, Logan S, Bradley R. Potential reversal of epigenetic age using a diet and lifestyle intervention: a pilot randomized clinical trial. Aging (Albany NY). 2021 Apr 12;13(7):9419-9432. doi: 10.18632/aging.202913. Epub 2021 Apr 12. PMID: 33844651; PMCID: PMC8064200.
https://www.aging-us.com/article/202913/text
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33844651/