妊娠・出産が可能な年齢の女性のおよそ10%がかかっているといわれる子宮内膜症。生理痛などの痛みや不妊のほか、疲労感や精神的な苦痛に悩まされる人もいます。このたび、フィンランドの研究から、子宮内膜症があると40代において仕事上の能力が下がってしまうと報告されました。どんな点に注意するとよいのでしょうか。
Contents 目次
子宮内膜症で仕事に現れる影響とは
子宮内膜症になると、痛みや疲労感のせいで日常生活に支障が生じることがよくあります。過去の研究からは、そうした影響は仕事にも及ぶと示されてきました。
このたびフィンランド・オウル大学の研究グループは、子宮内膜症を患った場合の仕事への影響について、長期間にわたるデータを分析しました。1966年にフィンランド北部で生まれた人のほぼ全員を追跡調査するデータベースを利用しており、これまでの研究と比べると、高い年代における影響もわかるところが特徴となります。
この研究では、仕事の能力のほか、失業や退職にどのように関連しているのかを分析しました。医療記録に基づいて子宮内膜症を患っていた女性348人と、ならなかった3487人のデータを比べています。
仕事の能力低下や病欠が5~6割増加
ここからわかったのは、子宮内膜症を患っていると仕事の能力が低下し、病欠も増えるということ。46歳時点で子宮内膜症を患っていた女性の場合、そうでない人に比べて仕事の能力が低下するリスクは1.6倍。10日以上欠勤するリスクが1.5倍に。46〜48歳の年齢層でも仕事に支障が出てくる可能性がありました。
働き方は国によって異なるので北欧と比べると、日本はもっと影響が大きいかもしれませんし、逆に小さい可能性もあります。とはいえ、40代という年齢層で影響が確認されていることを考えると、子宮内膜症の心配があるときには早めに対処を考えておくのがよいのかもしれません。
<参考文献>
Rossi HR, Uimari O, Arffman R, Vaaramo E, Kujanpää L, Ala-Mursula L, Piltonen TT. The association of endometriosis with work ability and work life participation in late forties and lifelong disability retirement up till age 52: A Northern Finland Birth Cohort 1966 study. Acta Obstet Gynecol Scand. 2021 Jul 7. doi: 10.1111/aogs.14210. Epub ahead of print. PMID: 34235718.
https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/aogs.14210
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34235718/