少しずつ過ごしやすい気候になり、夜明けの時間も遅くなってくる秋。夏の寝苦しさから解放され、ベッドから離れがたい朝を過ごしている人も多いのでは。実際、私たちの睡眠時間は季節によって変動する傾向があり、春〜夏よりも秋〜冬のほうが睡眠時間は長くなるといわれています。一方で、「長く眠れる」と「よく眠れる」は決してイコールではなく、また、そもそも十分な睡眠時間を確保することがむずかしい人も多いでしょう。そこで重要なのが、睡眠の質。今すぐトライできる睡眠の質を高めるポイントと、秋こそ睡眠を見直すべき理由をご紹介します。
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秋の夜長に夜ふかしはNG!? 秋に睡眠を見直すべき理由
オンラインでのつながりがすっかり日常となった今、ともすると眠りに落ちる寸前まで仕事やさまざまな人間関係のなかに身を置く状況が続き、オンオフの切り替えが曖昧になりがち。そうした生活のなかで、いわゆる“寝落ち”がクセになっていたり、一方でなかなか寝つけなかったりと、ふだんの睡眠に不満や問題を抱えている人は少なくないはず。
「秋の夜長」という言葉からは、なんとなく夜ふかしを連想しがちですが、じつは、気候が安定していて春と比べて環境の変化が少ない秋は、睡眠の質を見直す絶好のタイミング。日に日に夜の時間が長くなる秋から冬には、睡眠ホルモンとも呼ばれる「メラトニン」の分泌が促進されることもあり、よりよい眠りに有効な条件がそろっているのです。
上級睡眠改善インストラクター直伝! 睡眠レベルUPの法則
日本睡眠改善協議会 上級睡眠改善インストラクターの安達直美先生によると、睡眠の質を高めるポイントは“寝つき”にあるとのこと。ひと晩を通した睡眠の状態の変化を調べると、一般的に前半は眠りが深く(ノンレム睡眠)、後半につれて眠りが浅くなる(レム睡眠)の傾向があり、寝つきをよくすることで、睡眠の質が安定しやすくなるといいます。では、寝つきをよくして睡眠の質を上げるためにはどうすればいいのかというと、4つのポイントに沿って「眠りの準備ができているか」を意識するのが有効だそう。
安達先生直伝のポイントは、<1>眠気は十分にたまっているか、<2>体は眠りの準備ができているか、<3>脳は眠りの準備ができているか、<4>環境は眠りのジャマをしていないかの4つ。
帰宅後、つい疲れてソファでうたた寝をしてしまい、そのあといざ眠ろうとしてもなかなか寝つけない経験がある人もいるかと思いますが、スムーズに寝つくためには、就寝時までに眠気をためておくことが前提となります。そして、眠りの時間に向けて心身を整えていくことが大切。
具体的には、私たちの体は体温が下がり、内臓が休止モードになることで眠りにつきやすくなるため、遅い時間の食事や間食は控えて、早めに胃腸を休めるのが吉。また、よくいわれていることですが、眠る直前までスマホの画面をながめてブルーライトを浴びたり、考えごとをしたりするのも、脳の覚醒やストレス、興奮状態の原因となり、よくありません。できるだけ早めに食事や入浴を済ませ、部屋の照明を落とし、香りや音楽でリラックスできる空間を作るなど、環境を整えながら心身を眠りに向けて整えていくのがポイントです。こうした眠りの準備をすることが、途中で目が覚めてしまう、朝目覚めたときに疲労感が残るなどの睡眠トラブルを防ぎ、睡眠の質を高めることにつながるのです。
食生活からもアプローチできる! 睡眠レベルUPに有効な食品
より質の高い睡眠をとるためには、規則正しい生活を送り、眠りの準備をすることが大切。ですが、そうとわかっていても、さまざまな理由からその実現がむずかしいこともあるでしょう。そこで知っておきたいのが、睡眠の質を高めるのに効果的な食品があるということ。
乳製品や青魚には、睡眠ホルモンとも呼ばれる「メラトニン」や、精神を落ちつかせ感情を和らげるはたらきのある「セロトニン」のもととなる「トリプトファン」が含まれています。また、肉類や魚介類に含まれる「グリシン」には、体の末端部分の血行量を増やし、寝つきの要因となる深部体温を下げるはたらきがあります。ほかにも、抗ストレス作用のある「GABA」を含む発芽玄米など、睡眠の質を高めるのに効果的な食品は多種多様。さらに、こういった栄養素を手軽によることができるサプリメントも充実していて、最近では、カネカユアヘルスケアから「睡眠の質向上」と機能性が表示されたサプリも登場しました。このサプリに配合されている「還元型コエンザイムQ10」は、私たちの日々の活動に必要な細胞中のミトコンドリアのエネルギー産生を助けるもの。活性酸素を除去する抗酸化作用もあり、これまでもアンチエイジングやダイエットサポートなどの効能が知られていましたが、ストレスや疲労感の軽減、そして睡眠の質向上にも効果的であることが明らかになり、こういったサプリメントや食品の力を日常にとり入れるのも賢い選択といえそうです。
睡眠は、美容や健康はもちろんのこと、仕事のパフォーマンスやメンタルにも大きな影響を与えるもの。良質な睡眠は、頭がクリアになったり、心身が軽くなったり、さまざまなメリットをもたらしてくれます。毎朝「よく眠れた!」と実感できたら、それだけで生活の質もぐっと上がりそう。大切なのは、睡眠時間よりも睡眠の質ということを念頭に、今年の秋の夜長は睡眠レベルの向上にトライしてみませんか?
文/野田美香