足から全身に働きかけることで健康的な毎日を生み出す「足ウェルネスⓇ」というライフスタイルを提唱している足裏研究家の鈴木きよみさん。足裏に表れる表情を読み解き不調の原因を見出す、先生の足相診断をレポートします。今回のモニターさんは「汗かきやお腹の張り」でお悩みです。汗をかきやすい体質とお腹の張りの意外な関係を解説します!
Contents 目次
汗が出るのはいいこと! 代謝のいい体である証拠
今回のモニターは40代前半のS.Hさんです。仕事は保育園で保育補助をしていて、幼児を抱っこする時間も長く、力仕事が多いそうです。
S.Hさん:「年中汗をかきやすく、特に夏場は服がびしょびしょになってしまうほどなので、汗のにおいがしていないかも気になります。また、お腹にガスがたまりやすく、しょっちゅう苦しい思いをしています。自分でできることはいろいろやってみましたが、どれも改善することはありませんでした」
さっそく、きよみ先生に足相を見てもらいましょう。
きよみ先生:「しっかりとした指先をしていますね。こういう指は運動をしていた経験を示すサインなのですが、何か運動はされていましたか?」
S.Hさん:「中学の3年間は、陸上部で長距離を走っていました。大学生のときはダイエットのために、水泳を毎日1キロくらい泳いでいました」
きよみ先生:「体を動かすのがお好きなのですね! 今は保育のお仕事ということですが、足裏の角質のつき方をみると、毎日立ち仕事でほとんど座っていないようですね」
S.Hさんのように、フローリングの床の場所で立ち仕事を続けていると、足裏の角質が固くなりやすいのだそうです。
きよみ先生:「汗をたくさんかくのが気になるということですが、自分の汗のにおいが気になるかどうかをチェックしてみましょう。本来、汗のにおいは自分では気づかないものです。自分でにおいが気になるのであれば、汗腺のトラブルである可能性があるので、病院で診察を受けましょう。自分の汗のにおいが気にならなければ、汗をかくことは体にとってすごくいいことで、代謝のよさの表れです」
S.Hさん:「においよりも汗をかくこと自体が気になっています」
きよみ先生:「手のひらや足の裏に汗をかきすぎて、日常生活にまで支障をきたす、ということではないようなので、S.Hさんは代謝のいい体なのだと思います。冬でも汗をかける体であることは、汗をかけない体よりもずっといいことですよ。老廃物を体の外に出す、デトックス能力が高いわけですから」
お悩みだった汗をかくことは、じつは体にとっていいことだった、ということを知って、最初は心配そうだったS.Hさんの表情も、少し安心したように変化していました。
体の水分不足と食事内容がお腹の張りの原因
もうひとつのお悩みである「お腹にガスがたまる」という症状も、じつはこの汗かきと関係していると言います。
きよみ先生:「汗かきの人は、体の外に水分が出て行きやすいので、腸の水分不足になりやすいのです。腸の働きが弱まって、お腹にガスがたまったり、張りやすくなったりします。汗をかきやすい人は、意識して水分をしっかりとるようにしましょう!」
特に、朝起きてから仕事に出かけるまでの間にしっかりと水分をとっておくことが重要だとか。
きよみ先生:「外出先や仕事の間はトイレに行きにくい場合があるので、自宅でたっぷりと水分をとり、排尿もすませておきましょう。体内の水分の循環がよくなるのでお腹の張りが気にならなくなりますよ」
さらに、食事の内容を見直すこともポイントです。
きよみ先生:「食事のときに、パスタなどの小麦粉を使った食べものを多くとっていませんか?」
S.Hさん:「確かに、パンをよく食べますね。食べるとすぐにお腹が張る感じがします」
きよみ先生:「本来の日本人の主食は米ですが、今の欧米化した食生活では小麦粉の主食が増えてきていますよね。ところが、私たちの体は小麦粉を消化する力が弱いので、食べてすぐに胃に負担がかかり、お腹が張ってしまうのです。S.Hさんは腸が張っていると感じているかもしれませんが、実際には胃が張っているのだと思います。汗かきで、消化器の水分が不足して働きにくい状態になっているのに、さらに体に合わない小麦粉の食品を多くとっているので、胃や腸に負担がかかり、お腹が張りやすいのでしょう」
S.Hさん:「水分を多く飲むようにして、パンを食べるのを控えようと思います」
汗かきとお腹の張りに、意外な関係性があるとは驚きですね! 同じような悩みを持っている人は、水分のとり方や食事の内容を見直してみてください。
胃腸の働きを高め、お腹の調子を整える足刺激テクニック
さっそくお腹の張りを解消する足刺激テクニックを教えてもらいましょう! まずは、基本部位の刺激からスタートします。
【腎臓~輸尿管~膀胱のゾーンをプッシュ】
はじめに、足裏の反射区の基本的な部位である腎臓・輸尿管・膀胱のゾーンを流れで刺激します。体の不要な毒素を排出する働きを高めることで、全身の巡りをよくします。
オイルやクリームをつけ、指圧棒を使うとしっかりと刺激することができます。
●腎臓・輸尿管・膀胱のゾーン
【胃・十二指腸・膵臓のゾーンを刺激する】
親指の母指球の下には、胃・十二指腸・膵臓のゾーンがあります。このエリアを指圧棒の先でゴシゴシとこするように刺激して、消化器の働きをうながしましょう。
●胃・十二指腸・膵臓のゾーン
【腸のゾーンをしっかりと刺激する】
足裏の土踏まずの部分には、小腸や大腸のゾーンが集まっています。お腹の調子が気になるときは、土踏まずをしっかりと刺激して、腸の働きを高めてあげましょう。指圧棒の先を足裏にあてて、ゴシゴシと上下にこするようにすると、土踏まず全体をまんべんなく刺激することができます。
●足裏のゾーンマップ
●左足の横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸・肛門のゾーン
次に、左足にある大腸のゾーンを刺激します。指圧棒の先をあてて、横行結腸→下行結腸→S状結腸→直腸→肛門の順に、たまった老廃物を流すようにして刺激しましょう。
きよみ先生:「お腹にガスがたまって苦しいときは、横行結腸と下行結腸の角をピンポイントでプッシュすると、ガスが出やすくなりラクになりますよ」
これらの足刺激を行った前後の足裏を比べてみましょう!
足刺激前と比べて、足裏の血色がとてもよくなっています。
S.Hさん:「めちゃくちゃ足が温かくなりました!」
足刺激の間は痛そうな表情のS.Hさんでしたが、体の巡りがよくなって、ふくらはぎまでスッキリ軽くなったことにも驚いていました。
今回、初めて足相診断を受けた感想はいかがでしょうか。
S.Hさん:「貴重な体験ができて感激でした。汗っかきなのはすごくコンプレックスだったのですが、『代謝がいいということ!』とおっしゃっていただいて、ちょっと心が軽くなりました。足刺激は、サボらず毎日ガンバります!どんな変化があるのか、とても楽しみです」
3週間後は、お腹の張りが解消されているといいですね! 次回の記事で、S.Hさんの足刺激生活をくわしくレポートします。
取材・文/牧内夕子 イラスト/湯沢知子
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