美容にも健康にもよいと推奨されているオメガ3系脂肪酸。青魚に多く含まれるDHAやEPAのほか、えごま油などの植物油やナッツに含まれるαリノレン酸もそのひとつです。このたび、このαリノレン酸を食事で多くとっていると、全般的に死亡率リスクが下がるだけでなく、心臓および血管の病気による死亡リスクも下がるという報告がありました。
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41件の研究をまとめて分析
αリノレン酸は、体内で合成できないので食事でとる必要がある必須脂肪酸のひとつで、体内でEPA、DHAに変換されます。最近では、αリノレン酸を豊富に含むアマニ油やえごま油の美容および健康への効果が注目されています。ただ、αリノレン酸を大量にとり過ぎると体の組織に酸化ストレスがかかるという研究結果もあり、慢性疾患や死亡リスクとの関係については必ずしも一致しないそう。
今回、イランや北欧などの国際的な研究グループは、医学研究のデータベースからαリノレン酸と死亡リスクとの関連を調べた研究を集め、結果をまとめて分析してみました。分析した研究は1991〜2021年に報告されたもので、死因を問わない全般的な死亡リスク、心臓および血管の病気による死亡リスク、がんによる死亡リスクを調べた41件。これらの研究ではおよそ12万人(18〜98歳)の合計参加者について2〜32年間追跡しており、年齢や体重、身体活動、喫煙、飲酒などについて調整した結果が出ていました。
多くとるほどリスクが下がる関係
ここから判明したのが、αリノレン酸をたくさんとっていると、その人の健康に幅広いメリットをもたらしてくれそうだということ。具体的には、全般的な死亡リスクが10%減っていたほか、心臓・血管の病気による死亡リスクも8%減少、心臓に血液を送り込む冠動脈の病気による死亡リスクは11%低くなっていました。
さらに、αリノレン酸を1日に1g(キャノーラ油大さじ1またはクルミ油およそ15mlに相当)多くとるごとに、全般的な死亡リスク、心臓および血管の病気による死亡リスクが5%下がるという比例関係も見られました。
血液の検査によって詳しく調べると、αリノレン酸濃度が高いと全般的な死亡リスクが低くなっていました。
ただ、がんによる死亡については、αリノレン酸をたくさんとっている場合のリスクが若干高くなったそう。研究グループは今後の研究で確認する必要があると説明しています。体によいといってもとり過ぎは気をつけるのがよいのかもしれません。
今回の研究について、研究グループは「全体として、オメガ3系脂肪酸が健康によいことをさらに裏付ける結果」と結論づけており、日ごろの食事を考える参考にしてよさそうです。
<参考文献>
High intake of fatty acid in nuts, seeds and plant oils linked to lower risk of death
https://www.bmj.com/company/newsroom/high-intake-of-fatty-acid-in-nuts-seeds-and-plant-oils-linked-to-lower-risk-of-death/
Naghshi S, Aune D, Beyene J, Mobarak S, Asadi M, Sadeghi O. Dietary intake and biomarkers of alpha linolenic acid and risk of all cause, cardiovascular, and cancer mortality: systematic review and dose-response meta-analysis of cohort studies. BMJ. 2021 Oct 13;375:n2213. doi: 10.1136/bmj.n2213. PMID: 34645650.
https://www.bmj.com/content/375/bmj.n2213
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34645650/