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日本人の3人に1人が“隠れアトピー”!?  肌の常在菌のバランスと腸内環境が注目されるワケ

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日本人の3人に1人が“隠れアトピー”!?  肌の常在菌のバランスと腸内環境が注目されるワケ

菌ケアというと腸を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、腸以外にも口腔や肌も菌が多くすむ場所です。腸の不調だけでなく、「肌荒れが治らない」「虫歯が増えた」というのも菌がかかわっているのです。今回は、日本人の3人に1人が“隠れアトピー”とされるアトピー性皮膚炎と菌の関係について、菌ケア専門家・下川穣さんの『腸活にも、美肌にも、ダイエットにも! 菌ケアで美しくなる』からご紹介していきましょう。

Contents 目次

不調はあって当たり前?

肌荒れに悩む女性

「消えてもまたニキビをくり返す」
「肌荒れが治らない」
「何十年も便秘薬が手放せない」
「下痢が続いて外出するのが怖い」
「食べ過ぎてもいないのにお腹が張る」
「髪が細くなり抜け毛が増えた」
「毎日シャンプーしているのに頭がかゆい」
「ちゃんと歯を磨いているのに虫歯ができる」
「仕事が忙しくなると膣カンジダが再発する」
「ささいなことでイライラする」
「食べても食べても食欲が止まらない」
「寝つきが悪いし眠りも浅い」

こうした日常にあふれる不調、何となくやり過ごしていませんか。

「もしかすると100パーセント健康な状態というのを忘れてしまっているかもしれません。慢性疾患のある人は世界中に爆増しているそうで、その経済的損失は7兆ドル、というニュースがありました。仕事のパフォーマンスは下がるし、テンションは低くなり表情がくもってしまいますね。病院に行くほどでもない不調にも影響を与えているのが、全身に1000兆個ともいわれる菌の存在です」(下川 穣さん)

全身の不調を整える菌ケア。菌ケアの基本は腸ですが、それ以外にも全身に菌がすんでいます。

「細菌叢は腸を中心として、肌、頭皮、口腔、膣の5か所にあります。ですので、意外に思うかもしれませんが、肌や頭皮のトラブルも菌がかかわっています。そしてそれだけでなく、菌ケアをすることでダイエットや睡眠、メンタルヘルスにもよい影響が出ることもあるんですよ。肌トラブルの治療で菌ケアをしていた患者さんが、“最近目覚めがいい”と実感されたりすることもよく起こります」

3人に1人は隠れアトピー

皮膚のかゆみ

乾燥肌や敏感肌の人が増えていますが、それにも菌が関係しているようです。

「私は、皮膚科のドクターと議論する機会が多いのですが、そのなかである意外な事実が見えてきました。それは、皮膚科を受診する超乾燥肌や敏感肌、湿疹の人には、“隠れアトピー”の疑いがある、ということ。日本アトピー協会によると、日本人の3人に1人はアトピー性皮膚炎にかかりやすい体質であるそうです。乾燥肌の人も敏感肌の人も他人事ではない話です」

アトピー性皮膚炎とは、かゆみを伴った湿疹からなる疾患で、一度治っても何度もくり返すという特徴があります。

「アトピー性皮膚炎は、体の内外の状態、つまり外部環境・生まれつきの体質など、多くの要素がからまり合って発症します、湿疹・かゆみ・乾燥などを抑えたとしても、別の要因が解決していないと、何度も再発をくり返してしまうのです」

乳酸菌がアトピーのつらさを緩和する

ケフィア

肌にはニキビの原因となるアクネ菌や美肌菌といわれる表皮ブドウ球菌など、さまざまな菌がすんでいますが、アトピー性皮膚炎の肌では、この菌バランスが乱れていることがわかってきました。

「肌の常在菌のバランスが整っていれば健康な状態をキープできますが、アトピー性皮膚炎の場合、バランスに偏りが見られ、ある特有の菌が異常に増殖している傾向が見られます。それが、黄色ブドウ球菌です。この菌は食中毒や肺炎や髄膜炎などを引き起こす悪玉菌の代表で、肌で増殖すればアトピー性皮膚炎の症状を悪化させる原因にも。黄色ブドウ球菌は肌で炎症性の物質をつくり出したり、バリア機能を破壊したり、角質を溶かしたり…と悪の限りを尽くします」

アトピー性皮膚炎では肌の菌バランスの乱れが指摘されるほか、腸内環境についても同様のことがいえるようです。

「アトピー患者さんの腸内環境が乱れがちで、ある研究では、アトピー患者さんの腸内細菌はクロストリジウム・大腸菌・黄色ブドウ球菌など悪玉と呼ばれる菌の割合が健康な人よりも高いのに対し、ビフィズス菌の割合は低下していることが示されました。アトピー性皮膚炎を克服するためのインナーケアとして、腸内細菌を整え免疫機能の乱れを解消することはとても重要です」

腸内細菌を整える方法としては、やはり生きた乳酸菌(プロバイオティクス)をとることがオススメだそう。

「プロバイオティクスは、免疫機能を適正化し、かゆみを改善するとされるGABAや短鎖脂肪酸、炎症を抑えるキヌレン酸など多くの成分をつくり出し、これらがさまざまな方法でアトピー症状の軽減に寄与してくれます」

美肌のためにも菌ケアが重要な理由がよくわかりましたね。肌荒れやニキビが出やすいときは食事などライフスタイルを含めて見直すとよさそうです。

参考書籍

『腸活にも、美肌にも、ダイエットにも! 菌ケアで美しくなる』(幻冬舎)

著者/

下川穣(しもかわゆたか)
KINS代表、菌ケア専門家。岡山大学歯学部を卒業後、都内医療法人の理事長(任期4年3か月)を務める。クリニック経営を任されながらも、2,500名以上の慢性疾患に対する根本治療を目指した生活習慣改善指導を行う。医療法人時代に、菌を取り入れることによって体質改善した原体験をきっかけに菌ケアによる根本治療の可能性を感じ、2018年12月に株式会社KINSを創立。

取材・文/庄司真紀

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