肩こりや腰痛といえば誰もが経験する一般的な症状。慢性化している人も少なくないかもしれません。そのため、さまざまな治療法や痛みを和らげる方法が紹介されていますが、このたび、水中エクササイズ療法が、電気による神経刺激療法や赤外線を使った温熱療法よりも、慢性的な腰痛を緩和する効果が高いという報告がありました。
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肩こりや腰痛に水中での運動は効果的?
腰痛は世界的に見ても8割以上の人が一度は経験しているそうで、そのケアには理学療法や運動療法が推奨されています。数多い運動療法のなかでも、水中で行う運動療法がしだいに評価されているようです。水が持つ浮力や適度な圧力や抵抗性といった特性が、体の負担を軽減してケガを防ぎつつ運動効果を高めてくれます。
今回、中国の研究グループは、この水中エクササイズ療法の長期的な効果について、ほかの理学療法と比較してみました。腰痛が3か月以上続いている113人(18〜65歳、男女およそ半々)を2グループに分け、一方には水中エクササイズを、もう一方にはやはり慢性的な腰痛の治療法としてよく利用されている、電気による神経刺激療法と赤外線温熱療法を、いずれも60分ずつ週2回、3か月間受けてもらいました。そして治療開始時、終了時、それから6か月後、12か月後に、痛みや日常生活への影響について評価しました。
痛みと生活への影響の両方が大きく改善
一連の研究で確認されたのが、水中エクササイズのグループのほうが、痛みや日常生活への影響が大きく緩和され、12か月後まで持続したことです。生活への影響を測るスコアの両グループの差は、治療開始時から12か月後までにしだいに大きくなり、最終的に痛みが明らかに軽くなった人数を見ると、水中エクササイズのグループのほうが2倍ほど多くなりました。
慢性的な腰痛の人では、水中エクササイズ療法は理学療法よりも効果が大きく、1年間持続したと研究グループは結論。受動的なリラクゼーション療法ではなく能動的な運動を通して健康を改善するための治療法として、慢性的な腰痛の人には水中エクササイズがよいかもしれないと指摘しています。痛みが続く人は、プールに足を運んでみるとよいかもしれません。
<参考文献>
Peng MS, Wang R, Wang YZ, Chen CC, Wang J, Liu XC, Song G, Guo JB, Chen PJ, Wang XQ. Efficacy of Therapeutic Aquatic Exercise vs Physical Therapy Modalities for Patients With Chronic Low Back Pain: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open. 2022 Jan 4;5(1):e2142069. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2021.42069. PMID: 34994794; PMCID: PMC8742191.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34994794/