年齢を重ねると、まぶたが下がってきたり、ものを見るときに二重に見えたりすることもあるかもしれません。そんなとき、たいていは「歳かな」と老化のせいにしがちですが、じつは病気の疑いがある可能性も少なからずあるのだそうです。そこで今回は、老化とカン違いされやすい、まだまだ知られていない難病である「重症筋無力症」の認知向上のために開催されたオンラインイベントに出席して取材しました。※本記事は7月7日(木)に公開した内容に、一部情報の誤りがございましたので、訂正し正しい情報に更新したうえで再掲載いたします。
Contents 目次
重症筋無力症とは?
重症筋無力症(以下MG)とは、厚生労働省より難病指定を受けている希少疾患です。
具体的には、神経と筋肉をつなぐ部分に障害がおこることで生じる疾患です。おもな症状として、手足に力が入りにくかったり、疲れやすかったり、みなさんが日々感じたことがある悩みに似ていることが多く、症状の程度にも個人差があります。
また、外見では目立った症状があらわれないこともあるので、自分でも気づきにくく、周りの理解も得られにくい疾患です。
さらに、1日のなかでも時間によって体調が変化することがあるため「怠けている」「さぼっている」などと、周囲から誤解されることもあるのです。年齢も、赤ちゃんから高齢者までさまざまで、歳をとっているからなりやすいというわけではありません。誰でもなる可能性がある疾患です。
もしかしてわたしも? 重症筋無力症セルフチェック【※情報の訂正】
まぶたが下がって目がしっかり開けられない…。じつはこれもMGの症状のひとつなんです。
自分がMGなのか、セルフチェックする方法があります。それは、まぶたを冷やすだけ。
アイスパック試験と言い、冷凍したアイスパックをガーゼなどで包み、3~5分間眼瞼(がんけん)に押し当てることにより、眼瞼下垂が改善すれば陽性の可能性があるということです。
「もしかして…?」と思った人は、病院は脳神経内科を受診してください。脳神経内科では、難病を調べることができるそうです。
【訂正とお詫び】7月7日(水)公開時に、「冷やして目がぱっちりと開けば、(MGの)可能性は低い」と掲載しておりましたが、正しくは、「冷やして目がぱっちりと開けば、(MGの)可能性がある」となります。情報に誤りがあり大変申し訳ございません。
まわりにいない? こんなことがツライんです
さて、MGがどういったものなのか。症状やチェック方法もわかったところで、実際に生活するうえでどんなことがツライいのかわかっていれば、自分も、周りのMGの人も助かりますよね。
イラストレーターであり、MG患者のわたなべすがこさんによると、まぶしい光がとてもツライのだそうです。とくに、スーパーなどの大型店に入って、物や人、光をたくさん見たとき。ドラッグストアやコンビニなどの強い光がすごくツライと言います。
ほかには、机に向かうとき。
背もたれのないお座敷などで、背中を起こして座り続けることができないそうで、正座ができないということではなく、体幹を支えられないのです。本当に眠りたいわけじゃないのに、かがんだようになってしまうのだとか。
わたなべさんは、洋式スタイルの生活がラクということで、寝室はベッド、座るイスはハイチェアといったように、家具にも工夫をしているそうですよ。
知ることで誰かを助けられる
オンラインイベントにゲストとして参加されたのは、タレントの眞鍋かをりさん、JOYさん。お二方ともMGについては初めて知る内容だったとのこと。「知る」って大事だな、ということを実感されたそうです。
自分がMGについて知ることで、まわりに「もしかして?」と気になる人がいたら、知識のひとつとして教えてあげられる。そのことの大事さに気づくことができたと言います。そして、苦しんでいる人の気持ちを理解できる人間になりたい、とJOYさんはお話しされていました。
MGは、医師でも判断が難しい病気なのだそう。急にではなく、少しずつ症状が出てくるそうです。「おかしいな」と思ったら、ためらわず受診してみてくださいね。
【取材】
『「知る」ことから広がる 優しくなれる授業』
村井弘之先生(国際医療福祉大学医学部 神経内科学 主任教授)
槍澤公明先生(公益財団法人総合花巻病院 脳神経内科 部長)
長根百合子先生(公益財団法人総合花巻病院 脳神経内科 主任医長)
イラストレーター わたなべすがこさん
スペシャルゲスト 眞鍋かをりさん、JOYさん
取材・文/高田空人衣