よく「寝る前にホットミルクを飲むと安眠できる」と聞くけれど、紅茶にも安眠効果が期待できるのだそう。ストレートティーだけでなく、アレンジして飲むのもOKなのだとか。そこで、日本紅茶協会認定ティーインストラクターの森田麗子さんに、安眠に効果があるうえにおいしい紅茶のアレンジについて教えてもらいました。
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紅茶の成分がリラックスをもたらす!
そもそも紅茶のどんな成分が睡眠にいい効果をもたらすのでしょうか?
「紅茶には、うまみ成分といわれる、アミノ酸の一種であるテアニンが含まれているのですが、このテアニンにリラックス効果があるといわれています。テアニンは副交感神経を優位にする働きがあるので、リラックスした気分になれると考えられますね」(森田さん)
テアニンにはリラクゼーション効果をもたらすα波を増加させる効果があり、さらに、紅茶の独特の香りもリラックス効果を増進させるという相乗効果も。
「あまり聞いたことがないかもしれませんが、紅茶には香りの成分として、ゲラニオールやリナロールなどが含まれていて、これらの香気成分にリラックス効果があるといわれているんです」(森田さん)
お茶の香りの成分は、萎凋(イチョウと言って葉をしおらせること)段階からつくられます。そのため、酸化発酵させることでつくられる紅茶は、酸化発酵させていない緑茶などよりも香りの持つ効果は大! 飲むときは、香りもしっかり楽しむようにするとよさそうです。
ハーブを加えると効果はさらにアップ!
「紅茶はストレートで飲んでもいいのですが、ハーブ系のものや、他の香りのあるものと合わせて飲むと、アロマ効果が高まります」と森田さん。
はじめから香りがつけてあるアールグレイティーのほか、カモミールなどのハーブを加えて紅茶をいれるというのも手。
「手軽に飲みたいということであれば、紅茶とハーブをミックスしたティーバッグも市販されているので、そういったものを使うと簡単です。海外などでは、ハーブをミックスしたお茶が薬局で売られていたりするんですよ。ドライのハーブを使うときは、紅茶の茶葉にハーブを加えて、少し蒸らすようにして紅茶をいれるといいと思います。生のハーブを使うなら、カップにいれた紅茶にハーブをちょっと浮かべてみるのもいいですね」(森田さん)
紅茶は意外にいろいろなハーブと相性がいいのだとか。安眠への効果を期待するなら、カモミールのほかラベンダーなどもおすすめだそう。
「ラベンダーの紅茶はあまりないので、飲んだことがある人は少ないかもしれませんが、香りもそれほど強くなくて、おいしいんです。生のラベンダーはなかなか手に入らないので、ドライの有機ラベンダーなどを茶葉に加えて、蒸らすような感じで紅茶をいれるようにすると、香りがすごくよく立ちます。蒸気と一緒に香りも体に入るので、リラックス効果もより高まります」(森田さん)
ただし、ラベンダーはあまりたくさん入れると香りが強くなりすぎるので、「ちょっと少ないかな」と思うくらいの量から調節していくのが、おいしい紅茶をいれるポイント。
「人それぞれにお気に入りの香りがあると思うので、例えば、『柑橘系の香りが落ち着く』とか、『私はバラの香りが好き』といった好みがあれば、好きな香りをチョイスしてみるのもいいですね。お気に入りの香りは、自分の気持ちを落ち着ける効果が大きいと思います」(森田さん)
柑橘類を入れてもっと紅茶を楽しむ!
森田さん自身は、最近は柑橘系のものを加えた紅茶を楽しんでいるのだそう。
「ドライにしたものでもいいのですが、オレンジやベルガモットなど、生のものもけっこう売られているので、生のものを使うことも多いですね。私は生のベルガモットが好きなので、自分でアールグレイティーをつくったりします。最近試したのは、黄金柑(ゴールデンオレンジ)、デコポン、ベルガモット。それと「じゃばら」という、すだちとみかんを合わせたような柑橘があって、ちょっとすっぱいのですが、それもおいしかったです。いろいろ探して試してみると楽しいですよ」(森田さん)
紅茶に加えるときは、皮を刻んで茶葉と一緒に蒸らし、紅茶を出すだけでも十分だそうですが、さらにアレンジを加えてバリエーション豊かに楽しむ方法も教えてもらいました。
「柑橘類でマーマレードやコンフィチュールをつくって、それを紅茶に入れると、生の柑橘とは違う風味を楽しめます。そこまでつくるのはめんどうくさいという場合は、柑橘の果実だけを取り出して、少し細かめに切って砂糖と合わせて置いておくと、砂糖がなじんで、ゆるいマーマレードのようなものができるので、それを紅茶に入れてもおいしいですよ。過熱しないので手軽ですし、過熱したものとは違うフレッシュな風味があるんです。ヨーグルトなどに加えて食べてもおいしいですし、これからの時期、アイスティーにして飲むのもおすすめです。」(森田さん)
紅茶に柑橘類を加えるときは、スリランカのキャンディ、インドのニルギリなど、自己主張がなくてクセのない種類を合わせるのが、おいしく飲むコツ。ティーバッグでも、もちろんOK。最近はさまざまな茶葉のティーバッグが売られているので、ちょっとこだわって選んでみると楽しめそうです。
取材・文/小高希久恵