腸活に欠かせない食物繊維。ひと口に食物繊維といっても、複数の種類があるようです。海外研究では、なかでも発酵性食物繊維に着目して、その腸内細菌に及ぼす影響を報告しています。特に食物繊維が足りていない人にとって、発酵性食物繊維は腸内細菌をダイナミックに変化させる効果をもたらすようです。ふだんの栄養摂取を考えるときの参考にしてよいかもしれません。
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食物繊維は腸活と深い関係
食物繊維は便のかさを増してくれるので、お通じをよくしてくれます。そればかりではなく、腸内では酪酸や酢酸などの短鎖脂肪酸のもとにもなります。これは腸内善玉菌のエネルギー源となり、こうした特徴をもった食品はプレバイオティクスと呼ばれています。特に発酵しやすいタイプの発酵性食物繊維がこのような腸内細菌の“エサ”になりやすいこともわかっています。短鎖脂肪酸によって腸の健康が守られ、免疫力の向上、肥満や大腸がんなどの病気の予防につながるという長期的なメリットも研究から明らかにされています。そんな発酵性食物繊維については、種類によって、また人それぞれの腸内細菌叢によって、腸内での反応は異なり、そこからの短鎖脂肪酸の作られ方にも違いがあるそう。
今回、デューク大学など米国の研究グループは、健康な成人28人に発酵性食物繊維3種類(イヌリン、デキストリン、ガラクトオリゴ糖)を1週間、さまざまな順番でとってもらい、便を分析して短鎖脂肪酸の生成のされ方を比べてみました。
種類にかかわらず腸活に役立つ
こうしてわかったのは、ふだん食物繊維をとらない人ほどイヌリンやデキストリンなどの発酵性食物繊維の恩恵を受けやすいことです。
具体的に見ると、イヌリンやデキストリン、ガラクトオリゴ糖という種類によらず、研究前に食物繊維をたっぷりとっていた人ではあまり腸内細菌の変化は見られませんでした。ですが、逆に食物繊維をあまりとっていなかった人では腸内細菌叢の構成が変わり、短鎖脂肪酸の生成が大きく増えていることが判明しました。発酵性食物繊維に対する反応は個人ごとに変わるものの、おおむねどのタイプをとっても腸内細菌は変化すると考えられました。
また、同じ研究チームは別の研究で、腸内細菌が新たな食物繊維に対して1日以内に反応し、それを消化しやすい構成へと変化することを発見しています。そのため、食物繊維をあまりとっていない人こそ発酵性食物繊維を積極的にとることが望ましいということです。
サプリメントのほか、豆類や緑黄色野菜など食物繊維が豊富な食品を続けて食べることが大切と、研究グループは提案しています。
<参考文献>
IT DOESN’T MATTER MUCH WHICH FIBER YOU CHOOSE – JUST GET MORE FIBER!
https://today.duke.edu/2022/07/it-doesn%E2%80%99t-matter-much-which-fiber-you-choose-%E2%80%93-just-get-more-fiber
Holmes ZC, Villa MM, Durand HK, Jiang S, Dallow EP, Petrone BL, Silverman JD, Lin PH, David LA. Microbiota responses to different prebiotics are conserved within individuals and associated with habitual fiber intake. Microbiome. 2022 Jul 29;10(1):114. doi: 10.1186/s40168-022-01307-x. PMID: 35902900; PMCID: PMC9336045.
https://microbiomejournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40168-022-01307-x
Letourneau J, Holmes ZC, Dallow EP, Durand HK, Jiang S, Carrion VM, Gupta SK, Mincey AC, Muehlbauer MJ, Bain JR, David LA. Ecological memory of prior nutrient exposure in the human gut microbiome. ISME J. 2022 Jul 23. doi: 10.1038/s41396-022-01292-x. Epub ahead of print. PMID: 35871250.
https://www.nature.com/articles/s41396-022-01292-x