ぐっと気温が下がり、朝晩の寒暖差が激しくなるこの時期。夏と比べて気候もおだやかになり比較的過ごしやすいはずなのに、なんだか疲れやすい、体がダルい、食欲が出ないなどの不調を感じていませんか? じつはそれ、“秋バテ”の症状かもしれません…! 今回は、意外と知られていない秋バテの原因と対策法を自律神経のスペシャリスト小林弘幸先生に教えていただきました。
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多くの人が、季節の変わり目に自律神経の乱れを感じている
自律神経とは私たちの体にある神経系の一部で、意思とは無関係にはたらき、体内をベストの状態に保ち続ける神経の総称のこと。そのため、自律神経の乱れが体の不調につながってしまうのです、と語るのは、順天堂大学医学部総合診療科・病院管理学教授の小林弘幸先生。
この度、株式会社ロッテが行った自律神経に関する意識調査(※2)では、自律神経の乱れを感じることがあると回答した人172人に「季節の変わり目に自律神経の乱れを感じますか」と質問をしました。すると、全体の10.5%が「つねに感じる」、43.1%が「よく感じる」、36.0%が「ときどき感じる」と回答。
(※2)「株式会社ロッテ」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001826.000002360.html
なんと、自律神経の乱れを感じたことのある大半の人が、季節の変わり目や寒暖差の激しい時期に体調を崩しやすいことが明らかになったのです。その一方で、自律神経を整えるために日常的に意識や行動をしている人はわずか22.8%であることが判明。自律神経の乱れを感じていても、多くの人が対策をしていないことがわかります。
では、そもそもなぜ季節の変わり目になると自律神経が乱れてしまうのでしょうか?
季節の変わり目に自律神経が乱れる原因とは?
「自律神経はとても繊細で、ちょっとした生活の乱れが体調不良につながります。とくに季節の変わり目は、気温や気圧が変動するため自律神経が乱れやすくなります。自律神経が乱れると、疲れやすくなる、頭痛・肩こりの症状が現れるなど、仕事や日常生活にも大きく影響してしまいます。今回の調査でも自律神経の乱れを感じたことがある人の89.6%が、季節の変わり目に乱れを体感しており、四季の移り変わりはふだんより注意する必要があるでしょう」(小林先生)。
夏から秋にかけては、朝晩の寒暖差や気圧の変化などの気象変動が大きくなります。さらに、夏は冷たい飲みものを飲んだり過度に空調を使用したりといった生活習慣になってしまう人も多いのではないでしょうか? 夏場は外出によるエネルギーや体力消費も大きく、疲労が蓄積しやすい時期でもあります。
このような自律神経の乱れから、季節の変わり目にあたる今の時期に秋バテになってしまう人が多いというわけです。
乱れた自律神経を整える4つのメソッド!
ここまでは秋バテになる原因について解説してきましたが、実際、秋バテに打ち勝つための方法はあるのでしょうか? ここからは、自律神経を整える4つのメソッドを小林先生に教えていただきます!
ゆったりと湯船に浸かる
忙しく時間に余裕がないとシャワーですませがちですが、適切な入浴は副交感神経を高めてくれます。副交感神経には心身をリラックス状態にして休息させる働きがあるため、寝る時間1~2時間程度前に、少しぬるめのお湯(40℃程度)にゆったり浸かるといいでしょう。熱いお風呂に浸かってしまうと交感神経が高くなり、体が興奮状態になってしまうので気をつけましょう。
ストレッチやマッサージをする
自律神経の乱れを抑えるためには、マッサージとストレッチもおすすめです。これらを行うことで全身の血のめぐりがよくなり体の調子が整います。体が整うと、心も健やかに保つことができます。たとえば、足の指を開くだけの簡単なストレッチでも、ふくらはぎなど足全体の筋肉に効きます。首や肩を回したり、伸ばしたり、手軽なストレッチからとり入れてみましょう。
寝る前にスマホから離れリラックスする時間をとる
寝室の電気を消したあと、寝る直前までスマホをさわっていませんか? 寝る前に明るい画面を見ていると交感神経が活性化されてしまい、自律神経の乱れを引き起こしてしまいます。寝る1時間前までにはスマホを見ることをやめ、音楽を聞いたり読書をしたり、リラックスした時間を過ごすようにしましょう。そうすることで深い眠りにつながり、翌朝すっきりとした目覚めが期待できます。
「歩行」や「噛む」などリズム運動を行う
自律神経を整える方法として、リズム運動がいいことがわかっています。いつでも手軽に行えるリズム運動として、「深呼吸」「ウォーキング」「ガムを噛むこと」がおすすめです。私たちの最新の研究で、日常生活の中にガムを噛むことをとり入れると、気分がよくなったり自律神経のバランスが改善されたり、唾液中の免疫物質濃度が増加することがわかっています。
<ガムを噛むことによるいい機能とは?>
①セロトニン神経の活性化
「噛む」というリズム運動によりセロトニン神経が刺激され、“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニン分泌が増加し、自律神経の調節、覚醒作用、集中力を高めたりする作用などがあります。
②ストレスの軽減
日常生活や仕事、試験期間中などにガムを噛むと、ストレスや不安感、気分の落ち込みを低減する作用などが報告されています。試験期間中に噛んだ場合では、テストの点数向上も認められました。
③免役物資の増加
唾液や粘膜で分泌される免疫物質「免疫グロブリンA(IgA)」は細菌やウイルス、花粉などアレルゲンなどと結合して体内への侵入を防いでいますが、慢性的なストレスにより唾液中で減少すると報告されています。ガムを噛むことで唾液が増え、さらに時間当たりの唾液中へのIgA分泌が増加することが明らかになっています。
簡単&手軽にできる「ガムトレ」とは?
気分をリフレッシュさせたり、集中したいときにガムを噛むという人も少なくないはず。自律神経を整えるためのリズム運動「噛む」ツールとして活用できるガムは、日常生活の中でもとり入れやすいのがうれしいポイント! 最後に、そんなガムを使って手軽にできるトレーニング、「ガムトレ」をご紹介します。座ったままどこでもできるので、ぜひチャレンジしてみてください。
①背すじを伸ばし、足をしっかり地面につける
まずはガムトレの基本姿勢として、背すじを伸ばし、足を地面につけて噛むことが重要です。背すじを伸ばすことで脳への刺激が高まり唾液がしっかり出ることに加え、足を地面につけることでしっかり噛み締められ、咀嚼効率が向上します。
②口を閉じたまま左右均等に噛む
口をしっかり閉めて噛むことで口を閉じる筋肉の運動になります。また、左右均等に噛むことで、舌を左右に動かすため舌の筋肉の運動にも繋がります。
③自分のペースでリズムよく噛む
リズムよく噛むことで幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンが増加します。日常的に行うことで自律神経バランスを整え、精神の安定につながります。
いかがだったでしょう? 仕事や家事、運動などの作業中でも、ガムを噛むだけで自律神経を整えられるなんて、まさに夢のようですよね! 季節の変わり目で体調を崩しやすいこの時期、ぜひ今回ご紹介した方法を実践して、ツラい秋バテに打ち勝ちましょう!
文/FYTTE編集部