腸の健康を保つばかりではなく、全身への効果から注目度がますます高まっているのが腸活です。その効能のひとつとしてわかってきたのが免疫機能をアップさせる効果。このたび海外研究でウイルスや細菌を原因とする気道感染症にかかるリスクを低下させると報告されました。これから風邪が流行する季節になりますが、気道や肺の健康面からも腸活が注目されるのかもしれません。
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全身の健康に関連
腸活は腸内の微生物のバランスを健康的に保つこと。その手段として、健康につながる微生物を摂取するプロバイオティクス、あるいは微生物のエサになる食品を摂取するプレバイオティクスがあります。このほか相乗効果に期待して両方を組み合わせるシンバイオティクスも注目されています。こうしたなか、腸活の効果として研究が進んでいるもののひとつが、免疫機能をアップさせる効果です。
今回、米国の研究グループは、プロバイオティクスやプレバイオティクスの食品をとることで、鼻から気管、肺に至る気道の感染症を防ぐ効果が得られるかに注目しました。過去の研究から、プロバイオティクスやプレバイオティクス食品をとるグループと、プラセボ(偽薬)をとるグループを比べた結果を集め、分析したのです。
研究グループは成人(18〜65歳)を対象とした、世界16か国にわたる42件の研究を集めることができました。合計参加者は9000人以上。収集した研究のうち、38件はプロバイオティクス食品を使ったものでした。ここから研究グループは気道の感染症の発症、症状の持続期間、重症度への影響を調べました。
気道のトラブルを減らせる可能性
こうしてわかったのは、腸活のなかでもプロバイオティクス食品の摂取によって気道の感染症リスクが低下する可能性があることです。具体的には、プロバイオティクス食品をとったグループは、プラセボをとったグループと比べると、気道の感染症にかかっても症状が持続しづらくなり、重症になりにくくなることが判明しました。なお、発酵乳製品の形でプロバイオティクス食品をとると、効果が大きい可能性が見られました。この効果は菌の種類や摂取量、摂取期間にかかわらず同様でした。一方でプレバイオティクスとシンバイオティクス食品についての研究が1、2件のみだったために効果の判定は難しいという結果が示されました。
一方で、腸活の気道感染症を防ぐ効果は、日常的に運動に取り組んでいる人では確認できませんでした。研究グループによると、ふだんから体をよく動かしている人は生活習慣がもともと健康的であるために腸活によるプラスアルファが見えづらかった可能性があると推定しています。とはいえ、研究からは腸活のポジティブな効果があらためて確認されたことになります。風邪の流行する秋冬に、腸活は引き続き体を守る習慣として注目度を高めそうです。
<参考文献>
Are Probiotics an Effective Treatment for Respiratory Tract Infection?
https://nutrition.org/are-probiotics-an-effective-treatment-for-respiratory-tract-infection/
Coleman JL, Hatch-McChesney A, Small SD, Allen JT, Sullo E, Agans RT, Fagnant HS, Bukhari AS, Karl JP. Orally Ingested Probiotics, Prebiotics, and Synbiotics as Countermeasures for Respiratory Tract Infections in Non-elderly Adults: A Systematic Review and Meta-analysis. Adv Nutr. 2022 Aug 10:nmac086. doi: 10.1093/advances/nmac086. Epub ahead of print. PMID: 35948276.
https://academic.oup.com/advances/advance-article/doi/10.1093/advances/nmac086/6660647